透析百科 [保管庫]

20.2  ECUM(イーカム)

ECUMとは、透析液を流さず、また置換液の投与も行わず、血液から除水のみを行う方法である。ECUMでは尿毒症物質の実質的な除去は期待できないが、血液透析中に除水を行うのに比べて、比較的大量の除水を行っても血圧低下、下肢の筋肉痙攣などの不均衡症候群の出現することが少ない。

溢水による急性肺水腫などに対してECUMが単独で行われることもあるが、患者の体重増加が多いときに通常の血液透析で除去できなかった水分を除去するために血液透析に引き続いて行うことが多い。また、体重増加が多いときに血液透析に先立ってECUMである程度の除水を行うこともある。通常の透析に引き続いてECUMを行う場合には、ECUM を単独で行う場合ほどには循環動態の安定が期待できないが、それでもなお、血液透析中にすべての除水を行う場合よりは循環動態は安定する。また、血液透析に先立ってECUMである程度の除水を行う場合には、ECUMに引き続いて行われる血液透析中に循環動態が不安定となる。しかしこの場合にも、血液透析中にすべての除水を行う場合よりは循環動態は安定する。

なお、通常のベッドサイドモニター(透析装置)では、操作モードを切り替えるだけでECUMを行うことができる。

 


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