透析百科 [保管庫]

20.3  バイオフィルトレーション(biofiltration)

1. アセテートフリーバイオフィルトレーション(AFBF)の治療形態

AFBFは、重曹(バイカーボネートとも炭酸水素ナトリウムとも称される)や酢酸(アセテート)などの緩衝剤を全く含まない透析液を使用しつつ、重曹溶液を置換液としておこなう後希釈方式のoff-line HDFである。

しかし、通常の後希釈方式HDFの体液置換量が時間あたり 5 L 程度であるのに対し、AFBFの体液置換量は時間あたり 1.4 〜 1.8 L と少ない。このように、AFBFは治療形態としてはHDFであるが、置換液量が少ないために低分子量蛋白質の除去効率は高くはない。

 

 

2. アセテートフリーバイオフィルトレーション(AFBF)の治療目的

現在使用されている一般的な透析液には重曹に加えて、少量(8mEq/L〜12 mEq/L)の酢酸が含まれている。これは、重曹以外に緩衝剤を含まない透析液ではカルシウムやマグネシウムが重曹と反応して炭酸塩を生成し、これが結晶として析出するからである。しかし、酢酸は心機能抑制作用や末梢血管拡張作用をもつ。したがって、たとえ少量であっても透析液に酢酸が含まれていると、一部の患者ではこの酢酸が透析中の血圧低下の原因のひとつとなる。

一方、現在使用されている一般的な透析液に含まれている緩衝剤(重曹と酢酸)の量では代謝性アシドーシスを十分に是正することができず、かつ代謝性アシドーシスではアルブミンの合成が抑制されると報告されている。

そこで、AFBFの第一の治療目的は酢酸のもつ末梢血管拡張作用や心機能抑制作用を避けて酢酸よりも生理的な重曹で代謝性アシドーシスを十分に是正することであって、低分子量蛋白質を大量に除去することではない。

 

 

3. アセテートフリー透析液を実現し、代謝性アシドーシスを十分に是正するための手段としてのアセテートフリーバイオフィルトレーション(AFBF)

AFBFでは、このような問題を一挙に解決するために透析液から酢酸と重曹を除き、その代わりに重曹溶液の十分量をダイアライザーの静脈側で血液回路に注入している。ところが、十分な量の重曹溶液を投与すると体内には余分な水が貯留してしまう。そこで、これを防ぐために、AFBFではダイアライザーにおいて重曹溶液の注入量に見合う量の限外濾過をおこなっている。

補充する重曹溶液量は、血流量が170 ml/分未満の場合には1.3 L/hr程度、血流量が170 ml/分以上の場合には1.5 L/hr程度である。