透析百科 [保管庫]

25.4 体内への空気混入の防止

1. 動脈側穿刺針に関するトラブル
シャント血管への動脈側穿刺針の挿入が不十分である場合に、シャント血管に入っていない穿刺針の部分から血液回路内に空気が吸い込まれることがある。例えば、皮膚と穿刺針の間から吸い込まれた空気が穿刺針の側穴を通って血液回路に流入することがある。

また、透析中に動脈側穿刺針が自己脱落した場合にも、血液回路に空気が吸い込まれる。穿刺針の皮膚への固定が弱い場合に穿刺針の自己脱落が生じやすい。穿刺部が布団やコンプレッセンに覆われているために、スタッフが長くそれに気付かないことがある。

 

2. 動脈側穿刺針と血液回路との接続部での穿刺針の離脱
動脈側穿刺針と血液回路との接続がゆるい場合に、この部位で穿刺針が離脱することがある。この場合にも、動脈側穿刺針と血液回路との接続部が布団やコンプレッセンに覆われているために、スタッフが長くそれに気付かないことがある。

動脈側穿刺針と血液回路との接続部がロック式になっていれば、穿刺針が離脱することはない。

 

3. 血液ポンプの上流の血液回路への補液の際に生じる空気混入
透析中の血圧低下時に、血液ポンプの前の血液回路への急速補液を、エア針が必要なガラス瓶入りの生理的食塩水などを用いて行うと、ガラス瓶内の溶液がすべて回路内に入った後には空気が血液回路内に吸引されていく。したがって、このような補液はすべてプラスチック製のソフトバッグ入りの溶液を用いて行うべきである。また、補液中、スタッフはその場を離れてはならない。

急速補液でない場合には、静脈回路から補液を行うべきである。

 

4. 鉗子による血液回路のクランプが不十分であるための空気混入
定期的に鉗子をチェックし、また鉗子により血液回路をクランプした後はクランプが完全かどうか確認する。

 

5. ヘパリン注入ラインからの空気混入
ヘパリン注入ラインとヘパリンシリンジとの接続が緩かったり、ヘパリンシリンジに欠陥がある場合には、ヘパリン注入ラインから血液回路に空気を引き込むことがある。ヘパリン注入ラインが血液ポンプよりも上(静脈側)に接続されている血液回路を用いれば、このような事故は発生しない。

 

6. 動脈チャンバーあるいは静脈チャンバーの転倒
動脈チャンバーおよび静脈チャンバーをしっかりと設置するしかない。

 

7. 気泡検知器の不良
定期的に気泡検知器の作動状態を点検する。

また、誤動作するなどの理由で気泡検知感度を下げてはならない。誤動作する場合には、担当者に点検してもらう。

 

8. 透析終了時における空気返血
透析終了時に血液回路およびダイアライザー内の血液を空気で体内に返す場合には、大量の空気が一瞬に体内へ入ってしまう危険性が大きい。原則として、空気による返血は避けるべきである。