3.手根管症候群の治療
第1指から第4指に明らかな疼痛やしびれが認められるときには、内視鏡下あるいは直視下における手根管開放術の適応となる。電気生理学的検査による正中神経伝導速度の測定は手術適応を決定する際に有用である。手根管開放、屈筋腱周囲の増殖した滑膜の除去、正中神経剥離により第1指から第4指の疼痛やしびれ感は手術の当日から軽減ないしは消失する。しかし、手術の時期が著しく遅れた場合には、正中神経の圧迫も高度となり、手術を行っても症状の著明な改善は得られなくなる。
何らかの理由により手根管開放術が施行できないような場合には、手指の疼痛をロキソプロフェン(薬)、ジクロフェナク(薬)、エトドラク(薬)、ザルトプロフェン(薬)、などの非ステロイド系消炎鎮痛剤で抑える。非ステロイド系消炎鎮痛剤には、健胃薬、H2ブロッカーなどを併用する。