透析百科 [保管庫]

6.3  肩関節痛

アミロイド骨・関節症に関連する疼痛は他の関節にも出現しうるが、肩関節にもっとも著明である。しばしば両側性で、透析中および夜間に増強する傾向がある。肩が冷えると痛みが増強すると訴えることが多い。

アミロイド骨・関節症に関連する肩関節痛は、β2-ミクログロブリンの透過性の良いハイパフォーマンス膜の使用によりいくらか軽減する。

血液透析をoff-line型HDFon-line HDFあるいはpush/pull HDFなどの濾過型人工腎に変更すると肩関節痛はさらに軽減し、かつ疼痛軽減の程度は置換液量が多いほど大きいように思える。また、強力にβ-ミクログロブリンを除去する目的で臨床に導入された吸着カラムの使用でも肩関節痛が著明に軽減したと報告されている。ただし、β2-ミクログロブリン吸着カラムを用いた透析中には、β2-ミクログロブリン吸着カラムの容積の分だけ体外循環血液量が増えるので、老人や糖尿病患者では治療中の血圧低下に注意しなければならない。
薬物療法としては、まずロキソプロフェン(薬)、ジクロフェナク(薬)、エトドラク(薬)、ザルトプロフェン(薬)などの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を用いる。しかし、非ステロイド系抗炎症薬の効果は一時的であり長期的効果は期待できないことが多い。

頑固で強い疼痛を訴える患者に対しては、プレドニゾロン(薬)の5 mgあるいはベタメタゾン(薬)の0.5 mgを毎日あるいは隔日で投与することもある。この場合、ステロイド剤の使用量が多くならないよう、疼痛の大幅な改善を目標とするのではなく、ある程度疼痛が改善すればよしとすることが大切である。