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6.4  透析アミロイドーシスの予防

 透析アミロイドーシスの発生機序は依然として不明である。したがって、透析アミロイドーシスの予防法は、統計的な調査結果に基づいて推定せざるをえない。 

AN69膜で治療したグループでは、再生セルロース膜で治療したグループよりもアミロイドーシスの発症が少ないと報告されている[1]。この報告を拡大して解釈すると、生体適合性の良い、いわゆるハイパフォーマンス膜の使用により透析アミロイドーシスの発生が予防でき、あるいは遅延させることができるという可能性が浮かび上がってくる。 

それぞれの血液浄化療法の透析アミロイドーシス治療効果

またKodaらは、β2-ミクログロブリンを代表とする低分子量蛋白質の除去効率の極めて低い、いわゆるlow-flux膜で治療したグループに比べて、低分子量蛋白質の除去効率の高いhigh-flux膜で治療したグループでは透析アミロイドーシスの部分症である手根管症候群の発生頻度が明らかに小さいと報告している[2]。

さらに、日本透析医学会統計調査委員会は、HDFなどのβ2-ミクログロブリンを代表とする低分子量蛋白質の除去量の多い血液浄化療法では、透析アミロイドーシスの治療効果が優れていると報告している。

 

 

 

文献

1. Van Ypersele de Strihou C, et al: Dialysis amyloidosis. Adv Nephrol 17: 401-422, 1988. 

2. Koda Y, et al: Switch from conventional to high-flux membrane reduces the risk of carpal tunnel syndrome and mortality of   hemodialysis patients. Kidney Int 52: 1096, 1997. 


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