透析百科 [保管庫]

31.6 簡易湿潤療法の手順

滅菌被覆材を使用する湿潤療法では、しばしば被覆材を貼付した部位にかぶれが生じる。また、穿刺部の処置に関する操作も複雑であり、さらに滅菌被覆材を使用するために治療コストが上昇する。これらの問題を解決するため、以下の簡易湿潤療法が考案された。

<ボタンホール穿刺前の操作手順>

1.  0.1% イソジン液や J-ヨード液などのポビドンヨード液を準備する。250ml 入りのプラスチック製蒸留水ボトルの上部をカッターナイフあるいはハサミで切る。これにポビドンヨード液、たとえばイソジン綿棒1本を入れ、これでよく撹拌する(以後、代表的ポビドンヨード液としてイソジン液について記載する)。イソジン綿棒1本には10%イソジン液が 2.5ml 含まれているので、やがてプラスチックボトルの蒸留水は 0.1% イソジン液になる。これにイソジンを含まない綿棒を浸しておく。

2.  透析前に 0.1% イソジン液に浸しておいた綿棒で穿刺部を消毒する。

3.  チューシャバン(MPサイズ)やインジェクションパッドなどのパッド付穿刺部保護絆創膏のパッド部分を 0.1% イソジン液で濡らす。0.1% イソジン液に浸しておいた綿棒を使うとやりやすい。

 

<ボタンホール穿刺後の操作手順>

4.  ボタンホール穿刺が終わったら、ダルニードルの上から穿刺部にパッド部分を0.1% イソジン液で濡らした上記の穿刺部保護絆創膏(チューシャバンやインジェクションパッドなど)を貼り付ける。

5.  直ちに穿刺部保護絆創膏の上に油性軟膏(ゲンタシン軟膏など)を塗る。これにより、穿刺部保護絆創膏は油紙となり水分を通さなくなる。パッド部分が予め、0.1% イソジン液で濡れているので、「積極的湿潤療法」になり、かつ透析中の細菌の侵入も防げる。

 

<透析後の操作手順>

6.  透析が終了したら、ダルニードルを抜去すると同時に穿刺部保護絆創膏の上から穿刺部を圧迫止血する。

7.  24時間後に穿刺部保護絆創膏をはぎ取り、透析前夜の入浴中にタオルで痂疲を擦り落とす。次回の透析前に10〜20分程度、十分にお湯を含む蒸しタオルで穿刺部位を湿潤させてから痂疲を擦り落と してもよい。