13.2 プラスチック外筒付き穿刺針による穿刺
プラスチック外筒付き穿刺針では、金属性内筒針がプラスチック外筒よりも5mm程度長く、プラスチック外筒の先端から側孔の遠位までの距離は5mm程度である(図1)。 プラスチック外筒付き穿刺針による穿刺時には、まず金属性内筒針が皮膚を貫く際に抵抗があり、次にプラスチック外筒と金属製内筒針との間の段差が皮膚を通過する際に2度目の抵抗を感じる。皮膚への刺入角は通常30度前後が適切である。多くの場合この角度では、距離にして皮膚から5mm以上先で金属製内筒針が動脈化された静脈を刺入する。 |
図1 プラスチック外筒付き穿刺針 |
浅い位置にある血管や細い血管を穿刺する際は図2に示すように、より鋭角に穿刺する。皮下を這わす穿刺では痛みが強い。
図2 細い血管の穿刺
プラスチック外筒付き穿刺針による穿刺手順を以下に整理する。
1. 付属している注射器のピストンをシリンジの中央あたりまで引き上げた状態で穿刺する。
2. 血管腔内に内筒針の先端が入ると注射器と針の接続部へ少量の血液が滲む。
3. 注射器と針の接続部へ少量の血液が滲むことが確認できたら、注射器で血管内より血液を引き出し、再び血管内へ押し戻してみる。これにより、金属内筒針が血管内に入った事が確認される。
4. 金属内筒針を1〜2cm引き出し、プラスチック外筒へ血液が引き込まれてくることを確認する。
5.金属内筒針の先端がプラスチック外筒の先端付近に来るように、金属内筒針を押し戻す。
6. プラスチック外筒を血管腔内に送り込み、金属内筒針を抜去すると穿刺は完了する。
図3 プラスチック外筒付き穿刺針による穿刺手順
注意事項
1.以上のすべての操作は、プラスチック外筒付き穿刺針の穿刺角度、穿刺方向を穿刺時の状態に保ったまま行う。
2.確実にシャント血管腔内に金属内筒針の先端が入ったという自信があれば、上記の第3〜5項は省略してもよい。
3.上記の一連の手技は、肩の力を抜き脇をしめて、利き手の親指と人差し指で穿刺針を持ち、他の指は常に患者の皮膚に触れさせることにより手全体を安定させ、穿刺針の穿刺角度を変更せず、かつ穿刺針の先端の位置をイメージしながら行う。
4.血管壁は一気に貫くよう心がける。ためらうと、穿刺針の先端が中途半端に血管壁に刺さった状態が維持され血腫形成の原因となりうる(図3)。
5.細い血管の穿刺には、側孔のない穿刺針を用いる方が無難である。