透析百科 [保管庫]

14.3  アクセス血管のある側の手の腫脹

アクセス血管の狭窄や閉塞により吻合部より末梢の静脈圧が上昇すると、アクセス血管のある側の手が腫脹し疼痛の出現することがある。

橈側皮静脈は、手背に分布する背側中手静脈と交通している。そこで、手首付近で橈骨動脈と橈側皮静脈とを吻合する と、動脈血はアクセス血管以外に背側中手静脈にも流れ込み、その分布領域である第 1指と第2指またはシャント側手指全体に腫脹、発赤、疼痛、び爛を生じることがあ る(写真1)。腫脹が第1〜5指に限局していれば、背側中手静脈から分枝する責任 静脈を結紮することで問題は解決する。

もし手首より末梢が全体として腫脹していれば、理論的には吻合部近くで末梢への流路を閉鎖することにより問題は解決するはずである。しかし通常、このような場合には、吻合部の近傍でアクセス血管の中枢寄りに狭窄の存在することが多い。このようにアクセス血管に狭窄がある状態で、吻合部近くのアクセス血管から分枝する末梢へ向かう血管を結紮すると、シャントが潰れてしまう。このような場合にはまず、アクセス血管の狭窄部のバルーンによる拡張を試みる。これによっても手の腫脹が解消されない場合にアクセス血管から分枝する、末梢へ向かう血管を結紮する。

写真1 シャント側手指の腫脹、発赤の例

写真2  健常者の手首の橈側皮静脈 写真3  健常者の手背の静脈