透析百科 [保管庫]

14.2  静脈圧上昇時の対応

まず、血液ポンプを停止する。このとき、静脈圧モニターラインはクランプしないで静脈圧をモニターし続ける(下図を参照)。

 A.血液ポンプを停止させても静脈圧が低下しない場合

1. 血液回路のクランプの有無を確認する。もしクランプの解除を忘れていたことが、静脈圧上昇の原因であれば、静脈圧をモニターしながらクランプをゆっくりと緩めていく。これは、クランプを開放した瞬間に静脈側穿刺針から突然かつ急速に血液が体内に流入するのを防ぐためためである。

2.血液回路がクランプされていたことが静脈圧上昇の原因ではないことが確認されたら、静脈側ゴム栓より上流で血液回路をクランプし、ゴム栓から注射器でヘパリン1000単位を含む20 mlのヘパリン生食をゆっくりと注入する。これにより血液回路内で血液が凝固しているか否かを確認できる。もし血液凝固を認めたら、ダイアライザー及び血液回路全体を交換する。穿刺針については、ヘパリン生食を半分まで充填した注射器で血液を勢い良く吸い、これにより穿刺針内に血栓が存在しないことが確認できたり、あるいは穿刺針内の血栓を除去することができれば、抜針せずにこれに新しい血液回路を接続する。

 

 

 B.血液ポンプを停止させると静脈圧がゆっくりと低下する場合

1.静脈側ゴム栓より上流で血液回路をクランプし、ゴム栓から注射器でヘパリン1000単位を含む20 mlのヘパリン生食をゆっくりと注入する。これにより静脈側の穿刺針近くの血液回路内に少量の血液凝固を認めたら、血液回路から静脈側穿刺針を外し血栓を回路から外に押し流した後、血液回路に穿刺針を繋ぎ透析を再開する。血液回路内の凝固が著明ならば、ダイアライザー及び血液回路全体を交換する。穿刺針については、ヘパリン生食を半分まで充填した注射器で血液を勢い良く吸い、これにより穿刺針内に血栓が存在しないことが確認できたり、あるいは穿刺針内の血栓を除去することができれば、抜針せずにこれに新しい血液回路を接続する。

2. 不適切な穿刺針の位置や向きは、静脈圧上昇の原因となりうる。シャント血管が屈曲、蛇行、狭窄しているとき、穿刺位置が静脈弁のある部位だったとき、あるいは穿刺針を血管壁内に留置したときに静脈圧が上昇する(図1, 2)。穿刺針の位置異常が疑われるときは、穿刺針を少し引いたり、向きを変えてみる。これにより静脈圧の低下することがある。プラスチック外筒の折れ曲がりは、外筒を回転させながら指で修復を試みると回復することがある。

3. 穿刺部に血腫を認めるときには、穿刺ミスであると判断して穿刺針を抜去し再穿刺する

4.シャント血管のより中枢側に狭窄のあるときにはシャント血管の拍動が強い。シャント血管の拍動の強い時、必ずしも流量がよいとは限らない。シャント血管に狭窄のあるときには、バルーンによる拡張、人工血管による置換、上位でのシャント再建などの修復措置が必要となる。