透析百科 [保管庫]

17.1  透析中の血管痛

血液透析時における血管痛は、アクセス血管に器質的な変化、すなわち静脈の狭窄、硬化があるという条件下で、静脈側返血により血流が増し血管が進展、拡張するために痛みが生じる場合と、原因が不明な場合とがある。

これらの血管痛に対しては、体外循環血流量を減らしたり、局所の温湿布を試みる。しかし、これらの方法では痛みを十分にコントロールすることができないことが多い。このような場合には、ロキソプロフェン(薬)、ジクロフェナク(薬)、エトドラク(薬)、ザルトプロフェン(薬)などの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を投与するが、これらの薬剤の投与が長期に及ぶと胃潰瘍などの合併症の出現する可能性が高くなる。最終的には、手術により新たな内シャントの造説、狭窄部の血管の形成や人工血管による血管の一部置換をおこなわざるをえないこともある。

なお、消炎鎮痛剤としてアスピリンを用いると、アスピリンのもつ抗血小板作用により出血傾向が出現するので、この目的でのアスピリンの投与は避ける。とくに、すでに他の抗血小板剤を投与している場合には出血傾向は著明となる。