透析百科 [保管庫]

17.2  透析中の吻合部よりも遠位の痛み(スチール症候群)

透析中にアクセス血管から体外に脱血すると、吻合部より末梢で循環障害による虚血が生じ、この部位に冷感を伴う疼痛の出現することがある(スチール症候群)。

このタイプの疼痛には、体外循環血流量を減らしたり、局所の温湿布を試みる。しかし、これらの方法では痛みを十分にコントロールすることができないことが多い。このような場合には、ロキソプロフェン(薬)、ジクロフェナク(薬)、エトドラク(薬)、ザルトプロフェン(薬)などの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を投与するが、これらの薬剤の投与が長期に及ぶと胃潰瘍などの合併症の出現する可能性が高くなる。その他、虚血部位の血流を改善させる目的で、ベラプロストナトリウム(薬)などの経口用プロスタグランディンI2製剤、塩酸サルポグレラート(薬)などの経口用5-HT2遮断薬、シロスタゾール(薬)やリマプロストアルファデクス(薬)などの経口用プロスタグランディンE製剤、アルプロスタジル(薬)などの静注あるいは点滴用プロスタグランディンE1製剤などが用いられることもある。しかし、重症のスチール症候群に対しては、最終的には手術によりシャントの縫縮や閉鎖をおこなわざるをえないことが多い。