透析百科 [保管庫]

24.1  全血の分画

血液製剤には、全血製剤の他に赤血球濃厚液(CRC)、血小板補給のための濃厚血小板液(PC)、抗凝固因子の補給のための新鮮凍結血漿(FFP)などがある。各血球や血漿因子の至適保存温度と有効期間がそれぞれ異なるので、通常、全血は採血後速やかに分画される。

全血からそれぞれの成分への分画は、遠心分離法により行う。具体的には、抗凝固剤としてCPDを加えた全血を4,300gで遠心すると、全血は各成分の比重の違いに応じて、(1)赤血球濃厚液、(2)血小板、リンパ球、単球からなるbuffy coatおよび(3)血漿成分(FFP)に分画される。さらにbuffy coatを180gで遠心すると濃厚血小板液が分画される。

しかし、このような分画は完全なものではなく、赤血球濃厚液に顆粒球が混入することを防ぐことはできない。顆粒球が混入した赤血球濃厚液を輸血すると、混入した顆粒球のために副作用を生じることがある。また、濃厚血小板液には、全血中に含まれるリンパ球の5%が混入する。

造血器系悪性腫瘍の患者や抗がん剤の投与を受けている患者(免疫不全のある患者)では、HLA抗体の産生を防ぐため、輸血の際に白血球除去フィルター(器具)を使用するのが望ましい。白血球除去フィルターを使用することにより、サイトメガロウイルスの感染を防ぐこともできる。高齢者、癌患者、免疫不全の患者では、輸血後移植片対宿主病(GVHD; graft versus host disease)を避けるため、15〜50Gyの放射線照射を行った血液製剤を使用するのが望ましい(新鮮凍結血漿を除く)。ただし、放射線照射を行うとカリウム濃度が著しく上昇することに留意する必要がある。