透析百科 [保管庫]

24.6 中心静脈栄養

経口栄養摂取のできない正常な腎機能の成人に対しては、一日に水分を1,500〜2,500ml、Na+を60〜100mEq、K+を40〜80mEq、糖質を300〜500g、アミノ酸を50〜100g、脂肪を20〜60g、そして総カロリにして1,500〜3,000kcalを経中心静脈投与する。

透析患者では、水分、Na+、K+が腎臓から排泄されないので、これらの投与量を抑えなければならない。透析患者の中心静脈栄養では、輸液製剤を以下の要素を混合して作成する。

(1) 体重1kgあたりのブドウ糖の投与量を7.5 g(30 kcal)とし、これを50%ブドウ糖液で処方する(15 ml/kg;体重が50 kgの患者では、50%ブドウ糖液700 mlを処方することになる)。ただし、糖尿病のある患者では、血糖値をモニターしつつ、適当な量の速効型インスリンを加える。

(2) 窒素源として、一日あたり腎不全用アミノ酸製剤(薬)の300〜400 mlを処方する。ただし、重症肝不全を合併している患者では、腎不全用アミノ酸製剤の投与により肝性昏睡に陥るおそれがある。このような患者では、代わりに肝不全用アミノ酸製剤を減量して投与する。

(3) 電解質の補給として、一日あたり10%NaCl液40 ml、2%CaCl2液20 mlおよび1モルの塩化カリウム液20 ml(塩化カリウム1.491g含有)を投与する。ただし、塩化カリウム液については、透析前血清カリウム濃度が3〜5 mEq/Lとなるように投与量を増減する。

(4) 高カロリー輸液用ビタミン剤(薬)10 mlを処方する。

(5) 高カロリー輸液用微量元素製剤(薬)1Aを処方する。

(6) 必須脂肪酸の不足を補うため、10%脂肪製剤(薬)の200 mlを週に1〜2回投与する。投与にあたっては、カテーテルが閉塞するのを防ぐため、他の輸液製剤と混合せずに、脂肪製剤のみ別のルートから投与するのが望ましい。
経口的に肉や魚をまったく摂取しておらず、また著しく栄養状態の悪い患者では、骨格筋および心筋内のL-カルニチンが極端に不足しており、そのために脂肪酸の利用ができないことがある。このような患者では、心筋内への脂肪酸の蓄積による不整脈の出現を防ぐため、一日あたり600 mgのL-カルニチンを経口的に摂取させるのが望ましい(現時点では、まだL-カルニチンの注射薬は発売されておらず、また経口用L-カルニチンは保険に収載されていない)。なお、L-カルニチンは透析液中に除去されるので、透析日は透析後に投与する。

一日あたりの高カロリー輸液処方量
薬剤名 透析患者投与量 注意事項
 (1)50%ブドウ糖液  15 ml/kg 糖尿病患者では、適当量のインシュリンを加える
 (2)腎不全用アミノ酸製剤 200 ml 重症肝不全患者では、代わりに肝不全用アミノ酸製剤を減量して投与

(3)10%NaCl液

  2%CaCl2

  1モルの塩化カリウム液

40 ml

20 ml

20 ml

K濃度が3〜5 mEq/Lとなるように投与量を増減

 (4)高カロリー輸液用ビタミン剤 10 ml  
 (5)高カロリー輸液用微量元素製剤 1A  
 (6)10%脂肪製剤 250mg を 12hr毎 a.週に1〜2回投与
b.中心静脈カテーテルとは別のルートから投与する
c.可能なら 500〜600 mgのL-カルニチンと併用する