透析百科 [保管庫]

24.4  急性出血に対する輸血

急性出血に対応する場合には、まず出血量の推定が必要である。出血量を推定したら、下記の式により、循環血液量に対する出血量のおおよそのパーセンテージを算出する。

循環血液量に対する出血量のパーセンテージ = [出血量(ml) ´100] / [70´体重(kg)]

a.循環血液量の10%以内の出血への対応

透析患者では、出血量が循環血液量の10%以内であれば、ソリタ-T1号、ソルデム1、ハルトマンG1号、リプラス-1Sなどの、カリウムを含まず、乳酸を含む、細胞外液補充開始液(健常人では乳酸リンゲル液)だけで対応する。急性出血では、循環血液量の減少を補うために、組織液の一部が血管内に移行して、患者は組織液の不足状態になっており、また代謝性アシドーシスが生じている。そこで、出血量の2〜3倍の細胞外液補充開始液により組織液の補給と循環血液量の維持を図り、これに含まれる乳酸により代謝性アシドーシスの是正を行う。

なお、透析患者で、乳酸リンゲル液ではなく細胞外液補充開始液を用いるのは、高カリウム血症の出現を防ぐためである。

b.循環血液量の10〜30%の出血への対応

透析患者では、出血量が循環血液量の10〜30%であれば、ソリタ-T1号、ソルデム1、ハルトマンG1号、リプラス-1Sなどの、カリウムを含まず、乳酸を含む、細胞外液補充開始液(健常人では乳酸リンゲル液)および赤血球M.A.P.を投与する。細胞外液補充開始液は出血量の2倍量を、赤血球M.A.P.は出血300ml当り.1パックを投与する。アルブミンについては、組織液中に血漿中の1.2倍量がプールされているので、とくに低アルブミン血症の患者でないかぎり、投与の必要はない。

c.循環血液量の30〜90%の出血への対応

透析患者では、出血量が循環血液量の30〜90%であれば、ソリタ-T1号、ソルデム1、ハルトマンG1号、リプラス-1Sなどの、カリウムを含まず、乳酸を含む、細胞外液補充開始液(健常人では乳酸リンゲル液)、赤血球M.A.P. およびアルブミン製剤(薬)を投与する。細胞外液補充開始液は出血量の1.5倍量、赤血球M.A.P.は出血量300ml当たり1単位、アルブミンは同様に出血量300ml当たり5 g(25%アルブミン製剤20ml)を投与する。

出血量が循環血液量の30〜90%であれば、このような対応を行いつつ、設備の整った病院に患者を移送するのが望ましい。

d.循環血液量の90%以上の出血への対応

透析患者では、出血量が循環血液量の90%以上であると推定されれば、ソリタ-T1号、ソルデム1、ハルトマンG1号、リプラス-1Sなどの、カリウムを含まず、乳酸を含む、細胞外液補充開始液(健常人では乳酸リンゲル液)、赤血球M.A.P.、新鮮凍結血漿を投与する。細胞外液補充開始液は出血量の1.5倍量、赤血球M.A.P.は出血量300ml当たり1単位、新鮮凍結血漿は出血量300ml当たり0.5〜1単位を投与する。プロトロンビン時間(PT)や活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を測定し、PTが30%以上あるいはAPTTが1.5倍以上に延長していれば、新鮮凍結血漿をさらに追加する。さらに、血小板数が50,000/mlが以下であれば、適宜、照射濃厚血小板の輸血を行う。

このような対応を行いつつ、設備の整った病院に患者を移送するのが望ましい。