24.2 血液製剤の種類
a.赤血球M.A.P.(RC- M.A.P.) 濃厚赤血球液中の抗凝固剤であるCPDを除いてMAP液に置換したものが赤血球M.A.P.である。MAP液は、mannitol adenine phosphateの頭文字をとった略語で、赤血球を通常の2倍の期間、保存するために開発された赤血球浮遊液である。Mannitol(マンニトール)は溶血の改善に、adenine(アデニン)とphosphateは赤血球ATPの維持に働く。 全血200mlに由来する赤血球M.A.P.の入っているパック(1単位;140ml入り)と全血400mlに由来する赤血球M.A.P.の入っているパック(2単位;280ml入り)とがある。赤血球M.A.P.のヘマトクリット値は60%前後である。有効期間は採血後21日間であり、4〜6°Cで保存する。 b.照射赤血球M.A.P.(Ir-RC- M.A.P.) 輸血後移植片対宿主病(GVHD; graft versus host disease)を避けるため、15〜50Gyの放射線照射を行った赤血球M.A.Pである。 全血200mlに由来する赤血球M.A.P.の入っているパック(1単位;140ml入り)と全血400mlに由来する赤血球M.A.P.の入っているパック(2単位;280ml入り)とがある。照射赤血球M.A.P.のヘマトクリット値は60%前後である。有効期間は採血後21日間であり、4〜6°Cで保存する。 c. 洗浄赤血球(WRC) 遠心分離法により全血から分画した赤血球層を生理食塩水で洗浄した赤血球浮遊液が洗浄赤血球である。血漿成分による副作用を避ける場合の輸血に用いる。 全血200mlに由来する洗浄赤血球の入っているパック(1単位;200ml入り)と全血400mlに由来する洗浄赤血球の入っているパック(2単位;400ml入り)とがある。洗浄赤血球のヘマトクリット値は45%前後である。有効期間は製造後24時間であり、4〜6°Cで保存する。 d.照射洗浄赤血球(Ir-WRC) 輸血後移植片対宿主病(GVHD; graft versus host disease)を避けるため、15〜50Gyの放射線照射を行った洗浄赤血球である。有効期間は製造後24時間である。 全血200mlに由来する洗浄赤血球の入っているパック(1単位;200ml入り)と全血400mlに由来する洗浄赤血球の入っているパック(2単位;400ml入り)とがある。照射洗浄赤血球のヘマトクリット値は45%前後である。有効期間は製造後24時間であり、4〜6°Cで保存する。 e.濃厚血小板(PC) 全血200mlに由来する血小板が20mlに濃縮されており、これを濃厚血小板の1単位としている。有効期間は採血後72時間以内である。静置しておくと凝集するので、20〜24°Cで水平式の振盪器の上で攪拌しながら保存する。 輸血後移植片対宿主病(GVHD; graft versus host disease)を避けるため、15〜50Gyの放射線照射を行った洗浄赤血球である。 全血200mlに由来する血小板が20mlに濃縮されており、これを濃厚血小板の1単位としている。有効期間は採血後72時間以内である。静置しておくと凝集するので、20〜24°Cで水平式の振盪器の上で攪拌しながら保存する。 g. 新鮮凍結血漿(FFP) 血漿分画を-20°C以下に凍結した製剤である。凍結するのは凝固因子の失活を防ぐためである。Na(ナトリウム)濃度は正常血漿より高く(全血由来では174 mEq/L、成分採血由来では153 mEq/L)、アルブミン濃度は正常血漿よりやや低い(4.0 g/dl)。 全血200mlに由来する80mlの血漿の入っている1単位入りパック、全血400mlに由来する160mlの血漿の入っている2単位入りパック、そして成分採血由来の450mlの血漿の入っている5単位入りパックがある。 |