透析百科 [保管庫]

28.2 透析液清浄化の方法(2)

 (この項は熊本中央病院の福井博義先生と臨床工学技士の方々の執筆による。)

この項では、ROモジュールより下流の透析液作製フローラインについて述べる。ROモジュールより上流の透析液作製フローラインについては、別の項に述べる。

1. エンドトキシン(ET)カット・フィルター
リザーブタンクを出た純水は、さらにRO用ETフィルタで濾過された後、純水、A液(電解質液)およびB液(重炭酸)の三液を混合する装置が組み込まれている多人数用透析液供給装置に送液される。

多人数用透析液供給装置内の三液混合器では、A液(電解質液)とB液(重炭酸)がRO用ETフィルタを通過した純水と混合される。A液は混合の直前に10ミクロン細孔のフィルターを通過するようにする。B液は一日に2〜4回に分けて作製する。決して一度で大量を作製して貯め置きしてはならない。また、重炭酸パウダーの袋は、たとえ開封前であっても埃をかぶるなど、不適切な状態で保存し、あるいは取り扱ってはならない。さらに、重炭酸溶解タンクは、RO水で使用前後に毎回洗浄しなければならない。

さらに、多人数用透析液供給装置の直下流には別のエンドトキシン・カット・フィルターを設置する。

透析液を通常の血液透析に使用する場合には、エンドトキシン・カット・フィルターをこれ以上、設置する必要はない。しかし、透析液をon-line HDFpush/pull HDFに使用する場合には、透析監視装置(ベッドサイドモニター)の下流にエンドトキシン・カット・フィルターを追加設置しなければならない。


2. バイオフリーカプラー
透析液回路とダイアライザーとの接合器具であるカプラーは、構造上汚染されやすい。カプラーの汚染を防ぐためには、透析前に園芸用ポンプなどでエンドトキシンを含まない弱電解酸化水をカプラー内部に吹きかけることにより洗浄する。しかし、それでもなお、通常のカプラーではバイパスコネクターの扱いに問題がある。そこで、熊本中央病院では、通常のカプラーの代わりに、バイパスコネクターを無くしたバイオフリーカプラーを使用している。その他、エンドトキシンに汚染されにくいカプラーには、JMS社製のジョイントレスカプラー、東レ社製のシリコンカプラー、ニプロ社製の抗菌カプラー、日機装社製のクリーンカプラーがある。

透析液作製フローラインの保守・管理については、別の項で述べる。

RO用ETフィルタ


 キャラクターU
    (クラレ)
 CF-663 
    (ニプロ)
 モルセップ 
  (ダイセンメンブレン)

 

エンドトキシン・カット・フィルター(透析液供給装置の直下流)
 
 微ET
  (旭化成クラレメディカル)
 CF-663L
  (ニプロ)
 ステラポアー
  (三菱レイヨン)
 キャラクターUS
  (クラレ)
 FF03
 (ダイセンメンブレン)

 

エンドトキシン・カット・フィルター(透析監視装置の下流)

 カットールEF-01
  (日機装)
 CF-609N
  (ニプロ)
 TET-1.0
  (東レ)
 JP-80
  (JMS)
 DIASAFE
  (フレゼニウス)
 U-8000S
  (ガンブロ)


Tweet
シェア
このエントリーをはてなブックマークに追加