28.4 透析液の水質基準
(この項は熊本中央病院の福井博義先生の執筆による)
エンドトキシンはグラム陰性菌の細胞膜の成分である。エンドトキシンは様々な発熱物質の中でも最も生物学的毒性が強い。これが透析液の水質評価の指標にエンドトキシン濃度が用いられる主な理由であるが、その他、透析液がエンドトキシンに汚染されやすいこともその理由のひとつである。すなわち、エンドトキシンによる透析液の汚染がなければ、その他の要素による汚染もないと推測する。
2. 透析液の水質評価基準 一方、ハイパフォーマンス膜を用いた血液透析では、ダイアライザー内である程度の逆濾過が生じる。そして、ハイパフォーマンス膜が一般的に使用されるようになった結果、最近は透析液の水質に対してより厳しい基準が適用される傾向にある。ヨーロッパでは、最近、これまで日常的に消毒する必要はないとされていた逆浸透装置(RO装置)についても、これは無菌的であるべきだとの考えが提案されている。
以下に、透析液の水質に関する九州HDF検討会の基準、日本透析医学会の基準およびEUの基準を示す。なお、九州HDF検討会の基準は、透析液をon-line
HDFに使用することを前提として作成されたものであるため、一次フィルター前の透析液と二次フィルター後の透析液について、それぞれ別の基準が設けられている。
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