透析百科 [保管庫]

28.3 透析液作製フローラインの保守・管理

 (この項は熊本中央病院の福井博義先生と臨床工学技士の方々の執筆による。)

1. 逆浸透装置(RO装置)からリザーブタンクまでの透析液作製フローラインの消毒

RO装置(軟水器、活性炭濾過器、RO膜およびRO水タンクから成る)からリザーブタンクまでの間の透析液作製フローラインは日常的な消毒の対象とはならない。ただし、RO膜については、3ケ月に一度、エンドトキシンフリーの弱電解酸化水を再循環させることにより消毒する。なお、RO装置内のタンクとリザーブタンクの中には、細菌増殖を防ぐため紫外線殺菌灯が設置される。

最近、RO装置も無菌にすべきであるとの考えが、特にヨーロッパにおいて提起されている。今後検討すべき指摘であると考える。希釈次亜塩素酸ナトリウムによりシステム全体が消毒されるようにしたRO装置を開発したメーカーもあるが、このようなRO装置では常に消毒薬によるRO膜の損傷に注意していなければならないだろう。



2. 透析液供給装置からフローライン末端までの消毒

透析後に、多人数用透析液供給装置から末端までを60分間水洗する。続いて、75倍に希釈した過酢酸系の薬剤を60分間流し、その後、流路にそのまま5時間以上封入する。

また、月に一度、排液ライン中のバイオフィルムを剥離させる目的で、水洗後、0.1%次亜塩素酸溶液を30分間流し、続いて40分間水洗し、その後は過酢酸系の薬剤で消毒し、そのまま流路に封入しておく。

また、消毒ではないが、週に一度、多人数用透析液供給装置から末端までの酢酸洗浄を行う。



3. エンドトキシン(ET)カット・フィルターの交換

a. リザーブタンクの下流に設置されるRO用ETフィルタ は、過去の実績からみて、少なくとも15年間は交換する必要がない。

b. 多人数用透析液供給装置の下流に設けられたエンドトキシン・カット・フィルター については、3〜4年に一度、中空糸膜のみを交換する。

c. on-line HDFpush/pull HDFを行う場合、透析用監視装置(ベッドサイドモニター)の下流に設置したエンドトキシン・カット・フィルターは3ヶ月ごとに交換する。

 

過酢酸系の薬剤
 
 ダイアステイル
      (ニプロ)
 ディアロックスC-J
 (エアーリキッド
      ジャパン)
 シュンマSK−1
  (佐々木化学)
 ヘモクリーン
     (ガンブロ)
 

塩素系の薬剤

 ダイラケミL
 (クリーンケミカル)
 アムテックQC−
        70ST
   (アムテック)

酸系の薬剤

 キノーサンPA
  (クリーンケミカル)


電解水系の薬剤

 オキシライザ
      (興研)
 ピュアクロライト
      (JMS)

4. エンドトキシン濃度のチェック

a. エンドトキシン濃度を測定する検体:ドレインを始めてから2分後に透析液作製中のフローラインから採取された、(1)水道水、(2)逆浸透水(純水あるいはRO水)、(3)B液、(4)ダイアライザーの直上流と直下流から採取された検体。
ダイアライザーの直上流と直下流の透析回路から検体を採取するためには、まずダイアライザーの透析液流入口に取り付けるカプラーとダイアライザーの透析液流出口に取り付けるカプラーを治療終了後にダイアライザーから取り外し、両方のカプラーを互いに連結する。次に、透析液回路にエンドトキシンを含まない水を流しつつ、サンプリングポートから検体を採取する。
ダイアライザーの直上流と直下流からの検体採取は、on-line HDFあるいはpush/pull HDF行う場合にのみ、実施する。

b. チェック頻度:1ヶ月に2度、それぞれの検体のエンドトキシン濃度を測定する。



5. 各検体中のエンドトキシン濃度

図には、熊本中央病院における透析液作製フローラインの各チェックポイントでのエンドトキシン濃度を示す。