透析百科 [保管庫]

15.4  圧制御式push/pull HDF

push/pull HDFは、血液透析をおこないつつ、ヘモフィルタ−にて濾過と逆濾過とを交互に生じさせることを特徴とする。すなわち、 push/pull HDF では、まず on-line HDF と同様に容量制御方式のコンソ−ル(UFコントロ−ラ−)を使用することにより透析液回路を密閉系とする。次に、ポンプを用いて密閉系である透析液回路内から一定量の透析液を系外に引き出すことによって透析回路内に陰圧を発生させ、血液側から透析液側へ濾過を生じさせる。続いて、直前の濾過行程で一旦系外に引き出した透析液を透析回路内に押し戻すことによって、透析回路内に逆に陽圧を発生させ、逆濾過の形で置換液としての透析液を体内に移行させる。

この原理に従って、多くのpush/pull HDF装置が開発された。それらの中の最新の装置である 圧制御式 push/pull HDF装置 では[1-3]、透析液回路への透析液の出し入れを一回吐出量が 16.7 ml のダブル・コンパートメント・ピストン・ポンプ(D-ポンプ)で行う。

この装置では、D-ポンプが密閉系の透析液回路内から 16.7 ml の透析液をD-ポンプの一方のシリンダ−内に引き出すとD-ポンプの他方のシリンダ−内の空気が血液回路の静脈チャンバ−に押し出される。次に、このようにしてD-ポンプの一方のシリンダ−内に引き出された透析液を透析液回路内に押し戻すと、他方のシリンダ−内には血液回路の静脈チャンバ−の空気が引き込まれる。その結果ヘモフィルタ−では、濾過と逆濾過が交互に繰り返され、これにともなうヘモフィルタ−から流出する血流量の増減は、静脈チャンバ−内の空気の引き出しと押し込みにともなう血液面の上下により相殺される。その結果、体内に戻る血流量はヘモフィルタ−における濾過と逆濾過の繰り返しにもかかわらず一定となる。

圧制御式push/pull HDF の一サイクルでは、0.8 秒程度pull 相に 16.7 ml の濾過が生じ、続いて 0.7 秒のpush 相にほぼ同量の逆濾過が生じる。したがって血液は、ヘモフィルタ−を通過する間に約 25 回、希釈と濃縮を繰り返すこととなる。そこで圧制御式 push/pull HDF は、機能的には前置換方式の on-line HDF に近い。

さらに、圧制御式 push/pull HDFは療法中に安全域内で最大の膜間圧が自動的に維持されるように工夫されている。

 

 

 

文献

1.        Shinzato T, Fujisawa K, Nakai S, Miwa H, Kobayakawa H, Takai I, Morita H, Maeda K: Newly developed economical and efficient push/pull hemodiafiltration. Contrib Nephrol, 108: 79-86, 1994.

2.      三輪真幹:push/pull HDF の基礎と臨床. 臨床透析,12(別冊 HDF 療法'96): 12-17, 1996.

3.Maeda K, et al.: Push/pull hemodiafiltration: Technical aspects and clinical effectiveness. (Editorial review) Nephron 71: 1-9, 1995