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15.8  HDFの臨床効果

on-line HDFオリジナルpush/pull HDFあるいは圧制御式push/pullHDF の短中期的臨床効果が数多く報告されている。いずれのHDFも、とくに関節痛皮膚掻痒感不眠イライラ感restlesslegs症候群などに対して有効であったと報告されている[1-3]。

しかし、いずれの症候に対する効果についても、その明確な機序は明らかにされていない。いずれのHDFでも、治療開始後の臨床効果の出現の時期、治療中断後の症候の再発の時期は様々である。最初の治療中に、すでに効果が認められる場合もあれば、数週間後にやっと効果の認められる場合もある。また、数か月間のHDF療法にもかかわらず効果の認められないこともある。一方、HDF療法を中断するとまもなく症候が再発することもあり、効果が数か月間持続することもある。

それぞれの血液浄化療法の透析アミロイドーシス治療効果

各種の治療法と透析アミロイドーシス悪化の関係に関する日本透析医学会統計調査結果によると[4]、図に示すように、on-line HDFにおいて最も「悪化のリスク」が低く、そのリスクは通常膜透析の0.007倍であった。これに次いでオリジナルpush/pull HDFでリスクが低く、on-line HDFとほぼ同等の0.009倍であった。リスクの低さではこれら二つの治療法が頭抜けていたが、これらに続いてβ2-ミクログロブリン吸着カラムを用いた血液透析で0.039とリスクが低かった。特殊な方法を用いない通常のoff-line HDFでも悪化のリスクは0.104と相当に低い値を示した。透析アミロイドーシスに対する最も簡便な治療法であるハイパフォーマンス膜を用いた血液透析においても、通常膜の血液透析患者に比べて悪化のリスクは0.424倍と有意に低いことが示された。なお、圧制御式push/pull HDFを用いた血液透析濾過を施行されていた患者は解析対象となった患者の中には存在しなかった。

 

 

 

文献

1.      Maeda K, et al.: Effectiveness of push/pull hemodiafiltration using large-pore membrane for shoulder joint pain in long-term dialysis patients. Artif Organs, 14: 321-327, 1990.

2.      金 成泰,他:オンラインHDFが目指すもの.腎と透析,38(ハイパフォ−マンスメンブレン'95): 47-53, 1995.

3.      高橋 貢,他:関節痛に対する push & pull HDF の有効性 --- Visual analogue scale を用いた評価.九州HDF検討会会誌,2: 99-101, 1996.

4.    日本透析医学会統計調査委員会: わが国の慢性透析療法の現況 (1999年12月31
日現在).  pp.1002-1003, 日本透析医学会,  2000