透析百科 [保管庫]

12.4  ポリアクリロニトリル膜(PAN膜)

PAN膜はセルロース系の膜に比べ孔経が大きく、しかも分画性がよい。さらに、セルロース系の膜に比べて、透析中の白血球の一過性の減少、補体の活性化などが小さく、生体適合性に優れている。

PAN膜を使用したダイアライザーは、ホスパル社と旭化成クラレメディカル社から発売されている。ホスパル社製のPAN膜は陰性荷電が強く、ブラジキニンの産生を刺激する。一方、ACE阻害剤はブラジキニンを不活性化させるキニナーゼIIを阻害する。ホスパル社製のPAN膜を使用していた患者にACE阻害剤を投与したところ、血圧低下、ショックが発生したとの報告がある[1]。ホスパル社製のPAN膜を使用している患者ではACE阻害剤は禁忌であるとされている。

 

 

 

文献

1.Tielmans C, et al: Anaphylactoid reaction during hemodialysis on AN-69 membranes in patients receiving ACE inhibitors. Kidney Int 38: 982-984, 1990.


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