12.7 ポリスルホン膜(PS膜)
小分子物質から低分子量蛋白質に至るまでの広い分子量範囲の尿毒症物質を効果的に除去できる。特徴的なのは、β2-ミクログロブリンの優れた除去能である。臨床評価においては、長期透析患者の関節痛の軽減、不眠の解消、イライラ感の消失、皮膚掻痒感の改善などが印象的である。生体適合性も他の合成膜と同様に優れており、透析中の一過性の白血球減少も軽度である。 PS膜を使用している患者では、ペントシジンの血清濃度の低いことが報告されている[1]。これは、PS膜を使用している患者でペントシジンの除去量が多いことによるのではなく、PS膜を使用している患者では、他の膜(再生セルロース膜、PAN膜、PMMA膜など)を使用している患者に比べてペントシジンの産生量が低いことによると考えられている。血清ペントシジン濃度は、動脈硬化の重要な原因のひとつである体内のカルボニル・ストレス(carbonyl stress)のレベルを反映する指標と考えられている。すなわち、PS膜を使用している患者では、動脈硬化の原因となる体内のカルボニル・ストレスのレベルが低いことが示唆される。 |
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透析膜と血清ペントシジンの濃度濃度の関係 |
文献
1.Jadoul M, et al.: Influence of hemodialysis membrane type on pentosidine plasma level, a marker of "carbonyl stress." Kidney Int, 55: 2487-2492, 1999.