透析百科 [保管庫]

9.6  透析中の血圧の推移と症状の出現

透析低血圧に伴う症状の多くが、脳血流量の減少に関連する症状である。脳血流量は、血圧の低下が軽度である間はほとんど影響を受けないが、血圧があるレベルを越えて下降していくと減少し始める。この脳血流量が減少し始める血圧のレベルには個人差が大きい。高齢者、動脈硬化が著しい患者では、比較的軽度の血圧の下降でも、脳血流量が減少する。

したがって、血圧が低下しても、それが脳血流量が減少するほどではない場合には、無症状である。

脳血流量の減少の初期症状は、大脳機能の低下に伴う欠伸や倦怠感の出現である。脳血流量が減少すると、反射的に副交感神経系の緊張度が亢進し、悪心、嘔吐が出現する。それでもさらに血圧低下を放置しておくと、脳血流が極限まで低下し、意識が消失する。

 

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