透析百科 [保管庫]

9.5  透析中の血圧の推移

透析中、除水を行うと、血液量がしだいに減少していく。血液量が減少すると、静脈に分布する血液量も減少し、これにともなって中心静脈圧が低下していく。中心静脈圧が低下すると心拍出量が低下する。このような心拍出量の低下による血圧の低下は、ある程度までは交感神経の緊張度の増大にともなう末梢血管抵抗の上昇により防がれる。しかし透析中、除水が進行し、これにともなって心拍出量があるレベル以下に低下すると、末梢血管抵抗の増大ではこれを代償することができなくなり血圧が下降し始める。

高度の心不全があれば、比較的軽度の中心静脈圧の低下でも心拍出量は著明に低下、血圧は下降する。すなわち、少量の除水でも心拍出量は有意に低下し、血圧が下降する。また、高度の自律神経失調があれば、少ない除水量による軽度の心拍出量の低下でも、これを交感神経の緊張度の亢進により代償することができないので、やはり血圧は容易に低下する。

 

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