10.9 著しい高血圧の緊急療法
著しく高い血圧を一時的に下げるにはニフェジピンを用いる。5mgのニフェジピンあるいは10mgのニフェジピンを投与するが、5mgあるいは10mgのいずれを選ぶかは、ニフェジピン投与への過去の血圧の反応を参考にして決定する。以前にニファジピンを投与したことがなければ、5mgを使用し、降圧がみられない場合には、1時間後に再投与する。ニフェジピンの投与が急性心筋梗塞の予後を悪化させるという報告があることを付け加えておく。
従来、緊急時にはニフェジピンを舌下投与し、あるいはカプセルを噛み砕き、すぐに飲み込ませるとされていた。しかし、2000年6月に日本高血圧学会から発表された「高血圧治療ガイドライン2000年版」には、“高血圧緊急症及び切迫症に対するニフェジピンの舌下投与は、過度の降圧や反射性頻脈をきたすことがあり、原則として用いない”旨記載された。すなわち、ニフェジピンは、経口的にのみ投与すべきであるとされた。経口的にニフェジピンを服用させると、血漿濃度が最大値に達するのに1時間程度を要する。