10.18 早朝高血圧(起床時高血圧)
1.1日の血圧変動パターン
a.正常な変動パターン
b.夜間睡眠中にも血圧が低下しないパターン
2.早朝高血圧の分類 早朝高血圧には、昼間の覚醒中の高い血圧が夜間睡眠中にもち越され、朝までそのまま高血圧の状態が続くノンディッパー型と、朝方のみ、急激に血圧が上昇するディパー型がある。とくに危険性が高いのは、ノンディッパー型の早朝高血圧であるといわれている。そして、ノンディッパー型の早朝高血圧は加齢とともに増加する。
3.メカニズム ノンディッパー型の早朝高血圧の原因はまだ明らかにされていない。服用している降圧薬の効果が朝まで続かないことも、一部、このタイプの早朝高血圧の成立に関係しているのだろう。
モーニングサージを特徴とするディパー型の早朝高血圧の原因も十分には明らかにされていない(モーニングサージとは朝方に急激に血圧が上昇する現象を言う)。このタイプの早朝高血圧は、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌増加と交感神経系の緊張の2つが重なって生じると考えられている。 一方、コルチゾールとノルアドレナリンの作用により血管が収縮しようとする時、正常では血管内皮細胞が血管を拡張させる作用を示し、血圧の過度な上昇が防がれる。 つまり、モーニングサージは、動脈硬化など、何らかの理由でこの血管内皮細胞がもつ血管拡張機能が低下しているために生じるのかもしれない。
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4.治療 早朝高血圧のメカニズムに照らし合わせて考えると、この病態の治療にはカテコラミン受容体のうちα受容体を遮断することによって血管の収縮を抑える α遮断薬が適していることになる。しかし、一部の Ca拮抗薬には α遮断薬に匹敵する早朝高血圧抑制効果があると報告されている。α遮断薬(ドキサゾシン)の就寝前投与を第一選択とし、これだけでは十分な降圧効果が得られない場合にはCa拮抗薬(シルニジピン、ニフェジピン徐放薬)を就寝前に投与する。 |
■ドキサゾシン ・カルデナリン (ファイザー)
■シルニジピン
■ニフェジピン徐放薬 |