透析百科 [保管庫]

10.16  高血圧治療薬(アンジオテンシンII受容体ブロッカー)

ACE阻害剤はアンジオテンシンIIの合成を阻害し、アンジオテンシンII受容体ブロッカーはアンジオテンシンIIの作用点であるアンジオテンシンII受容体をブロックする。したがって、両薬剤の作用は類似しているはずである。しかし、アンジオテンシンII受容体ブロッカーについてはACE阻害剤におけるような大規模臨床試験による知見の十分な蓄積がない。そこでJNC-VIとWHO/ISHのガイドラインでは、アンジオテンシンII受容体ブロッカーは、現時点では空咳などの副作用のためACE阻害剤が使用できない症例に用いることになっている。

アンジオテンシンII受容体ブロッカーには、ACE阻害剤と同様に降圧効果に加えて心筋肥大退縮効果などの心保護作用がある。さらに、ACE阻害剤とアンジオテンシンII受容体ブロッカーの併用は、心不全における血管収縮性因子の活性化という悪循環を改善すると報告されている[1]。

アンジオテンシンII受容体ブロッカーには、ロサルタン(薬)、カンデサルタンシレキセチル(薬)、バルサルタン(薬)がある。ACE阻害剤の多くが腎排泄性であるのに対し、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタンはいずれも肝代謝が主である。

 

 

 

文献

1.Baruch L, et al.: Augmented short- and long-term hemodynamic and hormonal effects of an angiotensin receptor blocker added to an angiotensin converting enzyme inhibitor therapy in patients with heart failure---Vasodilator Heart Failure Trial (VHeVT) study group---. Circulation 99: 2658-2664, 1999

 

 


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