透析百科 [保管庫]

18.3  B型肝炎の治療

B型肝炎の治療薬は、大きく3群に分けられる。第1群は、血清トランスアミナーゼ値の低下を目的としたもので、グリチルリチン配合剤やウルソデオキシコール酸がこれに含まれる。これらの薬剤には抗ウィルス作用は認められない。第2群は、ウィルスの抑制と排除を目的としたもので、インターフェロンがこれに含まれる。第3群は、免疫賦活を目的としたもので、小柴胡湯副作用に注意)がこれに属する。



1.血清トランスアミナーゼ値の低下を目的とした薬剤
a.グリチルリチン配合剤
グリチルリチン配合剤(薬)を用いた治療は、トランスアミナーゼ上昇時に1日あたり40mlの静脈注射から始める。これでGOT、GPTなどのトランスアミナーゼの低下が認められないようなら、1日あたりの投与量を100mlまで増量する。その後、トランスアミナーゼの再上昇に注意しながら、4週ないし8週ごとに投与量あるいは投与頻度を減らし、最終的には40mlの週2回ないし3回投与まで減量し維持投与量とする。グリチルリチン配合剤には経口薬もある。

b.ウルソデスオキシコール酸
ウルソデスオキシコール酸(薬)は、まれに悪心、嘔吐、胃部不快感などの消化器症状はきたすものの、安全性の高い経口薬である。慢性肝炎に対する保険診療上の容量は、1日150mgまでである。しかし、ウルソデスオキシコール酸の肝臓庇護作用は容量依存性である。そして、それ以上の投与量でもとくに深刻な副作用は認められない。そこで慢性肝炎でも、コレステロール系胆石の溶解を目的とする場合と同様、しばしば600mgまで使用される。

c.その他の肝臓庇護剤
その他の肝臓庇護剤に、グルタチオン(薬)、チオプロニン(薬)、肝臓加水分解物(薬)、プロトポルフィリンニナトリウム(薬)などがある。


2.ウィルスの抑制と排除を目的とした治療
B型肝炎の根治療法は、ウィルスの抑制と排除を目的としたインターフェロン(薬)の投与である。現在の保険制度では、HBe抗原陽性のB型肝炎に対するインターフェロンの投与期間は4週間に制限されている。インターフェロンの種類には、天然型インターフェロンα(薬)、遺伝子組み替え型インターフェロンα(薬)、天然型インターフェロンβ(薬)がある。インターフェロン投与のタイミングとしては、急性増悪からの回復期(GPTが200IU/L程度にまで低下した時)が効果的である。インターフェロン投与中は、副作用の出現に細心の注意が必要である。
なお、透析患者では非透析時に測定したインターフェロンの体内での半減期が約2倍に延長していたと報告されている[1,2]。したがって、透析患者ではインターフェロンの投与量を減量する必要がある。透析患者では、インターフェロンの投与量を健常人の50%に抑えるのが安全であろう。


3. リンパ球活性化剤
リンパ球活性化剤としては、小柴胡湯(薬)が用いられる。小柴胡湯は1日7.5gを3回に分け、食前に経口投与するが、その肝機能改善作用は徐々に現れるので年余にわたる投与が必要である。小柴胡湯とインターフェロンの併用で間質性肺炎を起こしやすいので、インターフェロン投与時には小柴胡湯は禁忌となる。インターフェロン療法は、小柴胡湯の中止後少なくとも3ヶ月以上が経過してから始める。

 

 

 

文献

1.    内原正勝、他:血液透析患者のC型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)治療----INFα2bの体内動態を中心とした検討. 肝臓, 36: 175, 1995.

2.    山口知明、他:血液透析施行中のC型慢性肝炎患者におけるインターフェロンα注(天然型)の血中濃度動態に関する報告. 日本病院薬剤師会雑誌(JJSHP), 38: 187-190, 2002.