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18.13  薬剤性肝障害

A. 薬剤性肝障害の発生機序

薬剤性肝障害は、薬剤に対するアレルギーによって生じる場合と薬剤の直接作用によって生じる場合とがある。薬剤に対するアレルギーによって生じる薬剤性肝障害では、初期にしばしば一過性の好酸球増多が認められる。表には、薬剤に対するアレルギーによって生じる薬剤性肝障害の診断基準を示す。

 

薬剤性肝障害の診断基準
1.  薬物の服用開始後(1〜4週★1))に肝機能障害の出現を認める
2.  初発症状として発熱、発疹、皮膚掻痒、黄疸などを認める(2項目以上を陽性とする)
3.  抹消血液像に好酸球増加(6%以上)または白血球増加を認める★2)
4.  薬物感受性試験(リンパ球培養試験、皮膚試験)が陽性である
5.  偶然の再投与により、肝障害の発現を認める

確診:1,4または1,5を満たすもの

疑診:1,2または1,3を満たすもの

★1) 1の期間についてはとくに限定しない                          (「薬物と肝」研究会より)
★2) 3については初期おける検索が望ましい

B. 薬剤性肝障害の症状

薬剤性肝障害の初発症状には、発熱、皮膚掻痒感。発疹、消化器症状などがある。黄疸がみられることもあるが希である。薬剤性肝障害は、検査値異常を下に(1) GOT、GPTの上昇が明らかな肝細胞障害型、(2) アルカリホスファターゼ(ALP)を始めとする胆道系酵素の上昇が中心となる胆汁う滞型、および(3)肝細胞障害型と胆汁う滞型の混合型に分類することができる。

 

C. 薬剤性肝障害の治療

まず、疑わしい薬剤の投与を中止する。重症度が中等度以上の症例では、安静臥床を守らせる。食事には通常の透析食を摂取させる。
肝細胞型肝障害の場合には、通常原因薬剤の中止により速やかに治癒する。
胆汁う滞型肝障害の場合には遷延化しやすい。このタイプの肝障害では、脂肪の摂取量を30〜40g/dayに制限する。必要に応じて以下の薬物療法をおこなう。

1. 第一選択として、ウルソデスオキシコール酸(薬)を1日あたり300〜600 mg、経口投与する。

2. 掻痒感が強い場合には、コレスチラミン(薬)を投与する。

3. プレドニゾロン(薬)を1日あたり30〜40 mg/dayから始めて、3〜5日おきに5mgづつ減量し、1ヶ月で中止する。効果が不十分な場合には10 mg/dayで維持する。

4. これらの治療が無効の場合には、胆汁酸非依存性胆汁流量を増やす目的で、フェノバルビタール(薬)を使用する。

混合型肝障害の治療は、胆汁う滞型障害に準ずる。