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18.9  インターフェロン療法の副作用

1.発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感、食思不振、意欲低下発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感、食思不振、意欲低下などが現れることがある。これらの症状には個人差が大きく、インターフェロン投与開始数日後には自然に軽減することが多い。これらの症状には鎮痛解熱剤で対応する。


2.白血球減少、血小板減少
白血球減少、血小板減少がインターフェロン容量依存性に生じる。多くは、インターフェロン投与量の減量で解決する。


3.甲状腺機能異常
甲状腺機能低下症や逆に機能亢進症が発生することがある。一般に可逆性である。甲状腺機能異常が著しい場合には、インターフェロンの投与を中断するが、これが軽症の場合には、甲状腺ホルモン製剤あるいは甲状腺抑制剤を用いつつ、インターフェロン療法を続ける。


4.耐糖能異常
空腹時血糖が160mg/dlを越えるようになれば、インターフェロンの投与を中止する。


5.間質性肺炎
インターフェロン投与の深刻な合併症に間質性肺炎がある。C型肝炎でインターフェロンを投与されていた症例で、間質性肺炎を合併したものの約60%は小柴胡湯を併用していた。小柴胡湯の成分のひとつであるオウゴンとインターフェロンが何らかの相互作用を来す可能性がある。したがって、インターフェロンと小柴胡湯だけでなく、インターフェロンと大柴胡湯、柴朴湯、柴苓湯あるいは清肺湯も禁忌とされている。インターフェロン療法をおこなう場合には、少なくとも3ヶ月前までには小柴胡湯の投与を中止しておく。
乾性の咳や労作性呼吸困難の出現、CRPの陽性、特徴的な胸部X線写真所見、CT所見で間質性肺炎の診断をおこなう。間質性肺炎が疑われたら、ただちにインターフェロンを中止し、副腎皮質ホルモンのパルス療法をおこなう。


6.神経精神症状
インターフェロンの投与により不眠やうつ状態の出現することがある。マイナートランキライザーや眠剤で対応するが、改善しない場合にはインターフェロンを減量あるいは中止する。うつ状態では自殺の可能性があることに留意する。


7.目および網膜の症状
インターフェロン投与開始8ないし10週後を頂点に約1/3の患者で軽度の網膜症が出現する。虚血性の変化が主であり、眼底出血を呈することもある。インターフェロン投与前にすでに高血圧性眼底あるいは糖尿病性眼底を示していた患者では、特別の注意が必要である。


8.脱毛
インターフェロンαでは投与3ヶ月後ごろより、脱毛を生じることがある。インターフェロンα療法が終了すると3ヶ月ほどで回復する。


9.皮膚症状
皮膚掻痒や皮疹が出現することがある。これらの症状は、インターフェロンβにおけるよりもインターフェロンαで頻度が高い。


10.循環器の症状
一過性の低血圧、頻脈、上室性期外収縮、心筋炎が報告されている。


副作用の点から、高齢者はインターフェロン療法の適応ではないという考え方もあるが、副作用の出現に気をつけていれば、高齢者でもインターフェロン療法は決して禁忌ではないとの考え方もある。


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