21.15 CRP
CRPは、マクロファージが活性化されると遊離するインターロイキン1またはインターロイキン6の刺激により、肝細胞で産生される。
CRPは感染症、自己免疫疾患(膠原病など)の一部、組織崩壊を伴う疾患(悪性腫瘍、心筋梗塞、肺梗塞、急性膵炎など)で陽性となる。ただし、感染症のうち、ウイルス感染症(ウイルス性肝炎を含む)では弱陽性に留まったり、あるいは陰性であることがある。また、自己免疫疾患のうち、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、皮膚筋炎では陽性率が低い。 CRPの経時変化はそれぞれの疾患の病勢との相関性が高いので、疾患の治療効果の評価や病勢の指標に用いる。 急性炎症の発症後数時間〜10時間以内には陽性となり、定量的検査成績が病勢と相関性が高いためにそれらの疾患の治療効果の評価をはじめ、経過および予後などの判定に役立てることができる。各種の病原体による感染症、膠原病のような自己免疫疾患などの炎症性疾患および悪性腫瘍、心筋梗塞、肺梗塞、急性膵炎などの組織崩壊を伴う疾患で陽性となる。
透析患者の約半数で、臨床的に明らかな感染症がないにもかかわらずCRP濃度が持続的に0.4mg/dl以上に上昇している[1]。このような症例ではCRPが高いほど死亡のリスク、とくに心血管系疾患による死亡のリスクが高いことが知られている[1]。 なお、透析液のエンドトキシン濃度が高い場合で[2]、とくにハイパフォーマンス膜を使用している場合には[3]、透析液側から血液側へエンドトキシンが移行し、その結果、血清CRP値が上昇すると報告されている。
文献 1. Zimmermann J, et al: Inflammation enhances cardiovascular risk and mortality in hemodialysis patients. Kidney Int 55: 648, 1999. 2. Shiffl H, et al: Ultrapure dialysate reduces dose of recombinant human erythropoietin. Nephron 83: 278-279, 1999. 3. 宍戸寛治、他:透析液清浄化の長期効果. 腎と透析 別冊53(ハイパフォーマンスメンブレン’02): 16-20, 2002.
|