22.13 糖尿病性網膜症
糖尿病性網膜症の進展度は眼底検査により診断する。糖尿病性網膜症の分類にはさまざまなものがあるが、(1)
網膜症なし、(2) 単純網膜症、(3) 前増殖網膜症、(4)
増殖網膜症の4つに分類する方法が広く用いられている。ただし、透析導入時に未だ網膜症が認められないというようなことはないと考えてよい。
1. 単純網膜症 2. 前増殖網膜症 3. 増殖網膜症 増殖網膜症では、眼科的には網膜光凝固術や硝子体手術が行われる。 虹彩や隅角に新生血管が出現すると、線維血管性増殖膜が隅角を閉塞し出血性緑内障が発生する。出血性緑内障では眼圧のコントロールが困難であり、失明の危険性が高い。 糖尿病性網膜症に対する内科的治療の中心は十分な血糖コントロールである。しかし、長期間血糖コントロールが不良であった患者に対して、急激な高血糖の是正を行うと、網膜細小血管の循環血流量の低下、血小板凝集能の亢進、赤血球酸素解離能の低下などが生じる。とくに前増殖網膜症よりも進展した糖尿病性網膜症では、これらの変化は急激な血管床閉塞に繋がる。このような問題を避けるため、血糖のコントロールは緩徐に行わなければならない。
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