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4.23 蛋白・エネルギー代謝の概観

1) エネルギー代謝の概観

図に示すように、我々が摂取した糖質は、エネルギー源として直ちに利用される他、グリコーゲンとして一時的に肝臓や筋肉に蓄えられる。ただし、糖質の摂取量が過剰となりグリコーゲンの貯蔵量が限界を超えると、余分な糖質は中性脂肪に変換されて脂肪組織に蓄えられる。一方、我々が摂取した脂質は、エネルギー源として直ちに利用される他、中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられる。

肝臓のグリコーゲンは必要に応じてブドウ糖に分解されて血中に放出される。血中のブドウ糖はインシュリンの存在下に様々な細胞に取り込まれて細胞内のミトコンドリアで酸化され、エネルギー源として利用される。一方、脂肪組織に蓄えられている中性脂肪は、やはり必要に応じて脂肪酸に分解されて脂肪酸として血中に放出され、様々な細胞内に取り込まれた後、L-カルニチンの存在下にミトコンドリア内に移行して酸化され、エネルギー源として利用される。

2) 蛋白代謝の概観

我々が摂取した蛋白質は、腸管でアミノ酸に分解され、アミノ酸は腸管壁から吸収されて血中に入る。このようにして体内に入ったアミノ酸は体蛋白質の合成(同化)に用いられる。

さて、我々の体を形成する蛋白質(体蛋白質)は、その一部が絶えずアミノ酸に分解(異化)され、一方では絶えずアミノ酸から新しく合成(同化)されている。すなわち、体蛋白質は常に新しいものに置き換わっている。したがって、食事による蛋白質の摂取量が減少して体蛋白質の材料が不足するために体蛋白質の合成が低下するか、あるいは何らかの理由で体蛋白質の分解が増大すると、体蛋白質量は減少し始める。また、逆に食事による蛋白質の摂取量が増加して体蛋白質の材料が豊富に供給されるために体蛋白質の合成が増大するか、あるいは何らかの理由で体蛋白質の分解が減少すると、体蛋白質量は増加し始める。

このように、体蛋白質の合成速度よりも分解速度の方が大きければ、体蛋白質量は減少し、逆に体蛋白質の合成速度よりも分解速度の方が小さければ、体蛋白質量は増加する。当然、体蛋白質の合成速度と分解速度が等しければ、体蛋白質量は変化しない。そして、体蛋白質量が異常に少ない状態を蛋白栄養不良状態という。

なお、食事で摂取した蛋白質に由来するアミノ酸だけが体蛋白質の合成に利用されるのではなく、体蛋白質の分解により生じたアミノ酸も体蛋白質の合成に再利用される。そして、体蛋白質の分解により生じたアミノ酸および食事で摂取した蛋白質に由来するアミノ酸の中、体蛋白質の合成に利用されなかったアミノ酸は尿素に変換される。