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4.33  リン吸着剤(クエン酸第二鉄水和物)

新しいリン吸着薬として、2014年5月、クエン酸第二鉄水和物が発売された。このリン吸着薬では、クエン酸第二鉄水和物の第二鉄(3価鉄)がリンと結合して不溶性の沈殿(リン酸鉄)を生じる。クエン酸第二鉄水和物の製剤であるリオナ(鳥居薬品)は、比表面積が大きいため、溶解速度が既存の高リン血症治療薬よりも速く、そのため、消化管内で効率的にリンを吸着するとされている。

1. クエン酸第二鉄の薬物動態

主成分である第二鉄(3価鉄)は大部分がリン酸と結合し、難溶性の沈殿(リン酸第二鉄)を形成して便中に排泄されるが、一部は腸上皮細胞膜上で第一鉄(2価鉄)へ還元された後、腸上皮細胞に取り込まれる。腸上皮細胞に取り込まれた第一鉄(2価鉄)の大部分は血中に放出されて第二鉄(3価鉄)に酸化され、鉄輸送蛋白であるトランスフェリンと結合する。しかし、腸上皮細胞に取り込まれた第一鉄(2価鉄)の一部は細胞内でフェリチンを形成し、腸上皮細胞の脱落と伴に消化管内へ排泄される。

クエン酸第二鉄を投与すると、血清鉄および血清フェリチンは上昇、総鉄結合能(TIBC)は低下、鉄飽和率(TSAT)は上昇する。

 

 

2. クエン酸第二鉄の投与方法

通常、1日500mg/日から開始し、以後、血清リン濃度に応じて投与量を調整する。最大投与量を1日6,000mgとする。投与量を増やす場合の増量幅は1日あたり1,500mgを上限とし、前回の増量時から1週間以上、間隔をあける。

 

 

3. 副作用

主な副作用は、下痢便秘、腹部不快感、血清フェリチンの上昇である。

 

 

4. 投与にあたっての注意

a. 血清フェリチンなどの鉄関連指標を定期的に測定し、鉄過剰状態の発生に注意する。鉄剤を投与している患者、ヘモクロマトーシスなどの鉄過剰状態にある患者ではとくに注意が必要である。

b. ヘモグロビン濃度などの貧血関連指標を定期的に測定し、特に赤血球造血刺激因子製剤(ESA)と併用する場合には、過剰造血に注意する。

c. 消化性潰瘍、炎症性腸疾患などの胃腸疾患のある患者では、クエン酸第二鉄水和物の投与により病態が悪化することがある。投与開始後の観察が重要である。

d. C型肝炎などの肝炎患者では、クエン酸第二鉄水和物の投与により病態が悪化することがある。投与開始後の観察が必要である。