4.27 リン吸着剤(炭酸カルシウムと酢酸カルシウム)
1.炭酸カルシウム 一般的に使用されるリン吸着剤は炭酸カルシウム(薬)である。炭酸カルシウムは、6.0mg/dl以下の透析前リン濃度を目標として、食中あるいは食直後に服用させる。6gの炭酸カルシウムの投与によっても、透析前リン濃度が6.0mg/dl以下に低下しない場合には、患者が指示どおりに薬を服用しているか、蛋白摂取量が多すぎないか、あるいはH2ブロッカーやプロントンポンプ阻害薬が投与されているのではないか調査してみる必要がある。H2ブロッカーやプロントンポンプ阻害薬の投与により胃のpHがアルカリ側に傾いていると、炭酸カルシウムのリン吸着能が低下する。 |
■炭酸カルシウム 炭カル (旭化成) カルタン (メルク・ホエイ) |
2.酢酸カルシウム リン吸着剤としては、炭酸カルシウム以外に、しばしば酢酸カルシウム(薬) も使用される。酢酸カルシウムのリン吸着能は炭酸カルシウムの吸着能の約2倍とされている。酢酸カルシウムの投与法は、炭酸カルシウムの投与法と同様であるが、酢酸カルシウムのリン吸着能は炭酸カルシウムほどにはpHに影響されないので、H2ブロッカーやプロントンポンプ阻害薬の投与を中止できないような場合には炭酸カルシウムを酢酸カルシウムに変更するのがよい。以前は、しばしばアルミゲルが使用されたが、アルミニウム蓄積をきたすので、現在は原則禁忌となっている。 |
■酢酸カルシウム PHOS-EX ”YT” (ヴァイタリンコーポレーション)
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3.
炭酸カルシウムあるいは酢酸カルシウムの投与に伴う高カルシウム血症
炭酸カルシウムあるいは酢酸カルシウムを投与するにあたっては、投与された炭酸カルシウムあるいは酢酸カルシウムのカルシウム部分はリンと結合してリン酸カルシウムとなり、便と共に排泄されることが期待されている。しかし、実際には投与された炭酸カルシウムあるいは酢酸カルシウムのカルシウム部分の一部はリンと結合せずに腸管から吸収され、しばしば高カルシウム血症の原因となる。 |