4.10 高カルシウム血症のコントロール
活性型ビタミンD製剤を投与すると、カルシウムの腸管吸収が促進し高カルシウム血症を生じることがある。とくにアルミニウム骨症のある患者では、低回転骨のため、比較的少量の活性型ビタミンDによっても高カルシウム血症を生じる。炭酸カルシウムや酢酸カルシウムなどのカルシウム含有リン吸着剤も高カルシウム血症の原因となりうる。高カルシウム血症を防ぎつつ、高リン血症の治療を行う手順については別の項で述べる。 二次性副甲状腺機能亢進症の患者で高カルシウム血症の出現を避けつつ副甲状腺機能を抑制するために、マキサカルシトール(薬)とファレカルシトリオール(薬)が開発された。マキサカルシトールとファレカルシトリオールは、カルシトリオール(薬)やアルファカルシドール(薬)と同等のPTH抑制作用を示す量を投与しても、これらの活性型ビタミンDほどには血清Ca濃度を上昇させないと期待されている。マキサカルシトールとファレカルシトリオールの投与法は別の項で述べる。
高カルシウム血症の原因として、活性型ビタミンDやカルシウム含有リン吸着剤の投与、あるいは二次性副甲状腺機能亢進症が否定された場合には、悪性腫瘍に起因する高カルシウム血症を考える。癌の骨転移、腫瘍細胞からのPTH様物質(PTHrP)やサイトカイン(プロスタグランディンE2、TNF-β、インターロイキン-1、TGF-α)の遊離は、骨からのカルシウム溶出を促進させる。このような病態に対しては、原疾患の治療が重要である。
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■マキサカルシトール オキサロール
■ファレカルシトリオール フルスタン ホーネル
■カルシトリオール アルカルロール オタノール
■アルファカルシドール アルファロール アルシオドール
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