4.6 血清アルブミン濃度と%クレアチニン産生速度の関係
血清アルブミン濃度と%クレアチニン産生速度は、両者ともに患者の蛋白栄養状態を反映する指標である。従って、患者の蛋白栄養状態を評価する場合、これらの指標のうち、どちらか一方のみを用いれば目的は十分に達せられるように思われるかもしれない。
しかし、1,588名の透析症例の臨床データを基に解析した結果では、血清アルブミン濃度と%クレアチニン産生速度との間には、相関関係は認められず、また両指標と生命予後との関係を多変量解析した結果でも、両指標は互いに独立した生命予後指標であることが示された[1] 。すなわち、血清アルブミン濃度と%クレアチニン産生速度は互いに異なる臨床情報を与えていると考えるべきである。その理由としては、クレアチニンはほとんど生理学的な活性を持たないのに対して、アルブミンは、膠質浸透圧の形成、様々な物質のキャリアー、酸塩基平衡の緩衝物質、さらにantioxidant[2-4]など様々な役割を持っていることが考えられる。 従って、臨床の場では、血清アルブミン濃度と%クレアチニン産生速度の両者を用いて患者の健康状態を評価をすべきであろう。 |
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血清アルブミン濃度と%クレアチニン産生速度の関係 |
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文献
1. Nakai S, et al.: Predialysis serum albumin concentration and creatinine generation rate do not reflect the same pathophysiologic status. Clin Exp Nephrol 2: 44,1998.
2. Halliwell B: Albumin -- an important extracellular antioxidant? Biochem Pharmacol 37: 569, 1988.
3. Gutteridge JMC: Antioxidant properties of the proteins caeruloplasmin, albumin and transferrin. A study of their activity in serum and synovial fluid from patients w ith rheumation arthritis. Biochim Biophys Acta 869: 119, 1986.
4. Wayner DDM, et al.: Quantitative measurement of the total, peroxyl radical-trapping antioxidant capability of human blood plasma by controlled peroxidation. Fedn Eur Biochem Soc Lett 187: 33, 1985.