11.5 心不全の治療
有効な治療法は少ない。まず、ドライウェイトが高すぎるのではないか検討する。薬物治療では、強心配糖体の有効な症例もあるが、多くの症例では心不全の基本的な病態が心筋肥大と心筋コンプライアンスの低下にともなう心室の拡張不全であるため、強心配糖体が無効である。強心配糖体を投与するなら、初期投与量を健常人の標準量の半量以下から始める。その後、血清ジゴキシン濃度を基に投与量を調整する。
血圧の低下に注意しながら、ACE阻害剤あるいはアンジオテンシン?受容体ブロッカーの投与を試みる。
また、貧血の著しい患者では、いくらか血圧が上昇するにしても、エリスロポエチンの投与によりヘマトクリット値を35%を目標に徐々に上昇させると症状が軽減する。