透析百科 [保管庫]

21.10  血清カルシウム濃度(Ca)

A. 血清Ca濃度

透析前血清Ca濃度の標準値を8.4〜10.0 mg/dl(4.2〜5.0 mEq/L)とする。

血清中のCaのうち約40%は蛋白(主にアルブミン)と結合、5〜15%はクエン酸、リン酸、炭酸と錯塩を形成し、50%がイオン化Caとして存在する。これらのCaのうち生理作用をもつのはイオン化Caのみであるが、定期検査では血清中の総Ca濃度が血清Ca濃度として測定される。

血清中のCaのうち約40%が蛋白(主にアルブミン)と結合しているため、血清アルブミン濃度が低い場合には、イオン化Ca濃度が低くなくても、血清(総)Ca濃度は低値を示し、逆に血清アルブミン濃度が高い場合には、イオン化Ca濃度が高くなくても、血清(総)Ca濃度は高値を示す。そこで、とくに低アルブミン血症の患者では、次のPayne の式により血清(総)Ca濃度の補正をおこなう。

補正Ca濃度(mg/dl)=血清Ca濃度(mg/dl)-血清アルブミン濃度(g/dl)+ 4

 

B. 高い血清Ca濃度

透析患者における高Ca血症のほとんどは、薬剤に起因するものである。

透析患者では、副甲状腺機能亢進症に対してしばしば活性型ビタミンDが投与されるが、ビタミンDは腸管からのCaの吸収と骨吸収の促進により高Ca血症を生じさせうる。とくにアルミニウム骨症のある患者では、低回転骨のため、比較的少量の活性型ビタミンDによっても高Ca血症を生じる。炭酸カルシウムや酢酸カルシウムなどのCa含有リン吸着剤も高Ca血症の原因となりうる。

また、高度な二次性副甲状腺機能亢進症では、活性型ビタミンDを投与していなくても、あるいは少量しか投与していなくても高Ca血症の出現することがある。

高Ca血症の原因として、活性型ビタミンDやCa含有リン吸着剤の投与、あるいは二次性副甲状腺機能亢進症が否定された場合には、悪性腫瘍に起因する高Ca血症を考える。癌の骨転移、腫瘍細胞からのPTH様物質(PTHrP)やサイトカイン(プロスタグランディンE2、TNF-β、インターロイキン-1、TGF-α)の遊離は、骨からのCa溶出を促進させる。

 

C. 低い血清Ca濃度

活性型ビタミンD製剤やCa含有リン吸着剤が投与されていない場合、腎臓における活性型ビタミンD[1,25-(OH)2-D3]の産生障害や高リン血症のため、透析患者は通常低Ca血症を呈する。その他、すでに述べたように、栄養障害に伴って生じる低アルブミン血症が見かけ上の低Ca血症の原因であることもある。

 

 

 

文献

1. 第2章血清P,Ca濃度の管理, 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン. 透析会誌45:301-356,2012.