透析百科 [保管庫]

8.4   βラクタマーゼ阻害薬/ペニシリン合剤

広域性ペニシリンは、ペニシリナーゼにより失活しやすいので、βラクタマーゼ阻害薬を配合した製剤も使用される。これらの製剤には、アンピシリンとβラクタマーゼ阻害薬であるスルバクタム(SBT)を組み合わせた製剤(ABPC/SBT)、アモキシリンとやはりβラクタマーゼ阻害薬であるクラブラン酸(CVA)を組み合わせた製剤(AMPC/CVA)、チカルシリンとクラブラン酸を組み合わせた製剤(TIPC/CVA)などがある。透析患者においては、投与量あるいは投与間隔の調整が必要である。

クラブラン酸、スルバクタム は、それ自体にはあまり抗菌作用はない。しかし、多くのβラクタマーゼの強力な阻害薬となる。ペニシリンと併用してさらに広い抗生物質のスペクトラム(嫌気性菌も含む)を得るのに用いられる。これらのβラクタマーゼ阻害薬は、βラクタマーゼ耐性腸球菌やオキサシリン耐性ブドウ球菌(ORSA)には適応とはならない。チカルシリン・クラブラン酸合剤は緑膿菌に対して有効であるが、治療には高用量を用し有効ではないこともある。髄液への移行は不確実であり、髄膜炎の治療に用いてはならい。

アモキシシリン・クラブラン酸合剤(AMPC/CVA)は、尿路感染症、中耳炎、副鼻腔炎、咬傷の治療に有用である。アモキシシリンの単独投与と比較すると、消火器系の副作用、特に下痢の出現する可能性が増加する。アンピシリン・スルバクタム合剤(ABPC/SBT)は、軟部組織、腹腔、骨盤の院外感染症や上気道、下気道の混合感染症の治療に有用である。チカルシリン・クラブラン酸合剤(TIPC/CVA)は、軟部組織、腹腔、骨盤、下気道の混合感染症の治療に有用である。



投与量
薬剤名 透析患者投与量 健常人投与量
アンピシリン・スルバクタム    
合剤(ABPC/SBT) 透析後に0.75〜1.5g 0.75〜1.5gを6〜8hr毎
アモキシリン・クラブラン酸    
合剤(AMPC/CVA)  0.75〜1.5g/day   
チカルシリン・クラブラン酸    
合剤(TIPC/CVA) 透析後に100mg 100mgを4〜6hr毎