8.19 ニューキノロン(抗菌薬)
ニューキノロンには、ノルフロキサシン(薬)、エノキサシン(薬)、塩酸シプロフロキサシン(薬)、オフロキサシン(薬)、塩酸ロメフロキサシン(薬)、トシル酸トスフロキサシン(薬)、スパルフロキサシン(薬)、フレロキサシン(薬)、レボフロキサシン(薬)がある。 ニューキノロンは殺菌的に作用する。これらの薬物の多くは経口での吸収性がよい。緑膿菌を含む大部分のグラム陰性桿菌および黄色ブドウ球菌を含む多くのグラム陽性球菌に有効である。レンサ球菌、特に腸球菌に対する作用は一定しておらず、嫌気性菌やPseudomonas aeruginosa 以外の緑膿菌属には無効である。 もっとも頻繁にみられる副作用は、胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢など)である。発疹、光線過敏症、中枢神経系副作用(眠気、頭痛、不穏、めまい)などの副作用も少ないながらみられる。非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)との併用による痙攣の発症が相次いで報告されている。ニューキノロンと非ステロイド系抗炎症薬との併用は最小限にすべきである。 透析患者ではニューキノロンの投与量を減らす。ニューキノロン(特にエノキサシンとシプロフロキサシン)によってテオフィリンの血中濃度が上昇する場合がある。アルミニウムやマグネシウムを含む制酸薬、スクラルファート、経口鉄剤、カルシウム、亜鉛製剤を含む薬物は、ニューキノロンの吸収を阻害する。 |
薬剤名 | 透析患者投与量 | 健常人投与量 |
エノキサシン(ENX) | 100〜200mg/day | 400〜600mg/day |
オフロキサシン(OFLX) | 100mg/day | 300mg/day |
塩酸シプロフロキサシン | 250mg を 12hr毎 | 500〜750mg を 12hr毎 |
スパルフロキサシン(SPFX) | 毎透析後200mg | 100〜300mg/day |
トシル酸トスフロキサシン | 300mg/day | 450mg/day |
ノルフロキサシン(NFLX) | 100〜200mg/day | 400〜600mg/day |
フレロキサシン(FLRX) | 100mg/day | 200〜300mg/day |
レボフロキサシン(LVFX) | 4日間は1日1回100mg、その後は100mg隔日 | 200〜300mg/day |
塩酸ロメフロキサシン | 200mg/day | 400mg/day |