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8.13   カルバペネム系抗生物質

カルバペネム系の抗生物質には、メロペネム三水和物(薬)(MEPM)、イミペネム・シラスタチン(薬)(IPM/CS:シラスタチンはイミペネム代謝阻害剤である)、パニペネム・ベタミプロン(薬)(PAPM/BP)がある。嫌気性菌、大部分のグラム陽性球菌(腸球菌、メチシリン耐性ブドウ球菌以外)、グラム陰性桿菌(マルトフィリア菌、一部のセパシア菌を除く)に有効であり、強力で広域スペクトラムを有している。ペニシリン耐性肺炎球菌はカルバペネムに感受性が悪いことがある。いずれの薬剤も緑膿菌、エテロバクター属、アシネトバクター属を含む多剤耐性菌感染症に有用である。また、重症の好気性菌と嫌気性菌の混合感染症で、他の薬物による併用療法が副作用の可能性のため好ましくない場合、単独で投与してみるのもよい。好中球減少性発熱に対して単独でも用いられる。

すなわち、カルバペネム系抗生物質は、グラム陽性菌、グラム陰性菌、嫌気性菌のすべてに極めて有効である。そして、このように極端に広い抗菌スペクトラムをもっていることから、複数菌による感染症、あるいは原因菌の感受性の確認結果がでるまでの病初期の感染症には適応となる。もし感受性が認められなければ、速やかに他の薬剤に変更する必要がある。カルバペネム系抗生物質を安易に、漫然と使用し続けると耐性菌を生み出すことになる。

カルバペネム系抗生物質には、ペニシリン系抗生物質と同様の副作用があり、ペニシリンアレルギーのある患者では免疫学的交差過敏性を生じていることがある。カルバペネム系では痙攣が生じることがあり、痙攣の素因がある患者(高齢者、腎不全、痙攣の既往のある患者)ではさらに頻度が多くなる。投与量あるいは投与間隔の調整が必要である。

 



投与量

薬剤名

透析患者投与量

健常人投与量

イミペネム・シラスタチン

(IPM/CS)

5〜10mg/kgを1日2回、

あるいは1回500mg以下を1日2回

 500〜1000mg/day

パニペネム・ベタミプロン

(PAPM/BP)

0.25gを毎透析後

1.0g/day

メロペネム三水和物

(MEPM)

0.25〜0.5gを毎透析後

0.5〜1.0g/day