5.1 活性型ビタミンDの作用
1.活性型ビタミンDの作用
活性型ビタミンD [ 1,25(OH)2D3 ]は、(1)
腸管からのカルシウムとリンの吸収を促進し[1]、(2) PTHの産生・分泌、副甲状腺細胞の増殖を抑制する[2]、(3)
骨芽細胞に作用して骨のリモデリングを促すと共に骨の石灰化を促進するとされている[1]。しかし一方では、ビタミンD欠乏時の骨石灰化障害は腸管からのカルシウム吸収不足に伴う2次的な変化であるとする見解[3]や活性型ビタミンDは副甲状腺ホルモン(PTH)濃度に影響を与えず、低回転骨症を生じさせてしまうとの報告[4]もある。
2.透析患者ではビタミンD活性化機能が喪失
透析患者では、腎のビタミンDの活性化機能が喪失しており、実質的な活性型ビタミンD欠乏状態にある。そのため、しばしば活性型ビタミンD製剤が投与されるが、投与にあたってはPTH
濃度や血清 ALP
濃度等を総合的に判断して投与方法・投与量を決定しなければならない。また、投与中は、高カルシウム血症や高リン血症の合併に充分注意しなければならない。
3.新しい活性型ビタミンD誘導体
最近発売になった活性型ビタミンD誘導体、マキサカルシトールとファレカルシトリオールは、従来の活性型ビタミンDに比べて血清カルシウム濃度を上昇させる作用が弱いと期待されている。
文献
1. 福本誠二:骨・カルシウム代謝調節ホルモン. 日内会誌 82: 1923, 1993.
2. Cantley LK, et al: 1,25(OH)2 D-dihydroxyvitamin D3 suppresses parathyroid hormone secretion from bovine parathyroid cells in tissue culture. Endocirinology 117: 2114, 1985.
3. Li YC, et al: Normalization of mineral ion homeostasis by dietary means prevents hyperparathroidism, rickets and osteomalacia, but alopecia in vitamin D receptor-ablated mice. Endocirinology 139: 4391, 1985.
4. Goodman WG, et al: Development of adynamic bone in patients with secondary hyperparathyroidism after intermittent calcitriol therapy. Kidney Int 46: 1160, 1994.