透析百科 [保管庫]

16.7  肉眼的血尿

肉眼的血尿の原因如何にかかわらず、出血量が多い場合にはメシル酸ナファモスタット透析をおこなう。その上で肉眼的血尿の原因を検索し、原因に応じた治療をおこなう。
透析患者における肉眼的血尿は、多発性嚢胞腎や透析歴の長い患者に特徴的な後天性腎嚢胞性疾患、膀胱炎、尿路結石、腎細胞癌などに認められる。多発性嚢胞腎や後天性腎嚢胞性疾患では出血のあった嚢胞が破裂した際に肉眼的血尿が生じ、しばしば血尿と共に側腹部あるいは腹部に鈍痛がみられる。後天性腎嚢胞性疾患のある患者の約5%に肉眼的血尿が出現するが、それよりもむしろ後腹膜腔へ出血し血尿のみられないことの方が多い。
透析患者の膀胱炎では、肉眼的血尿が約30%にみられる。尿路結石症は血液透析患者の約6%に認められ、血尿に加えて背部に疼痛がみられる。さらに、ときに急性あるいは反復性の尿路感染症を合併する。透析患者に発生する結石は1 ないし3mm程度の小さなものが多く、たとえ尿量が少ない場合でも自然排石が期待できる。尿路結石にともなう疼痛に対してはロキソプロフェン(薬)、ジクロフェナク(薬)、エトドラク(薬)、ザルトプロフェン(薬)などの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)などの鎮痛剤を用いる。自然排石が認められず、疼痛が続く場合には、泌尿器科医にコンサルテートする。
腎細胞癌は、後天性腎嚢胞性疾患に高頻度で合併する。しかし、後天性腎嚢胞性疾患に腎細胞癌が合併しても症状に乏しく、腎細胞癌の約80%の症例はスクリーニングで発見される。すなわち、腎細胞癌が肉眼的血尿の出現によって発見される頻度は大きくはない。