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7.15  単純ヘルペス感染症の診断と治療

1. 疾患概念

単純ヘルペスの原因ウィルスには、herpes simplex virus 1とherpes simplex virus 2(HSV-1とHSV-2)がある。HSV-1は主に口唇周囲、口腔内など上半身に、HSV-2は主に性器など下半身に反復性の水疱を形成する。

 

2. 症状

ヒリヒリする不快感やかゆみのある短い前駆期の後(再発性HSV-1では一般的に6時間未満),小さな水疱が紅斑性の基底上に現れる。1つの集合体は0.5〜1.5 cmであるが,集合体は互いに融合することもある。小水疱は数日間持続し,その後、乾燥しはじめ,薄く黄色い痂皮を形成するようになる。通常,発病後8〜12日で治癒が始まる。ヘルペス性病変は通常は完全に治癒するが,同じ部位に再発を繰り返すと萎縮と瘢痕を残す。

 

3. 診断

診断はウィルスの検出,HSV-IgM抗体価の漸進的上昇(原発性感染の場合),そして生検所見によって確定される。病変部基底のツァンク試験(Tzanck試験)により,しばしばHSVによる多核性巨細胞が証明される。
帯状疱疹との鑑別に関して,帯状疱疹はまれにしか再発せず,通常,皮膚知覚帯に沿って水疱と、HSVよりも激しい痛みとを生じる。

 

4. 治療

アシクロビル(薬)を1回200 mg、1日2回経口投与し、透析後には400 mgを追加投与する。二次性感染に対しては抗生物質軟膏を使用する。二次性感染が重症の場合には抗生物質を経口的にあるいは経静脈的に投与する。

重症の単純ヘルペスに対しては、アシクロビルを経口投与するのではなく、毎日あるいは透析終了時に2.5 mg/kgのアシクロビルを経静脈的に投与する。

アシクロビルは腎排泄性の薬剤であり、腎不全患者では体内に蓄積する傾向がある。しかし、アシクロビルは血液透析により効率的に除去される。アシクロビルの投与中、幻覚、せん妄、錯乱、戦慄、痙攣などの精神・神経症状が現れたら、透析により除去し、その後、減量して再開する。

再発性の軽症例では、アシクロビル軟膏やビダラビン軟膏を1日1〜4回塗布するだけでよい。

なお、腎機能が正常な成人には、通常、アシクロビルを1 回200 mg、1日5 回経口投与する。


アシクロビル

ゾビラックス錠
  (200mg錠、400mg錠)
(グラクソ·スミスクライン、一参天)

ゾビラックス注
(グラクソ·スミスクライン、一参天)



アシクロビル軟膏

ゾビラックス軟膏
(グラクソ·スミスクライン、一参天)

 

ビダラビン軟膏

ビダラビン軟膏
(持田)