7.21 結核の院内感染の予防
1. 感染源となり得る結核に罹患した患者 結核の院内感染予防でもっとも重要なことは、感染源となり得る結核に罹患した患者を早期に発見し、対策をたてることである。腎不全のない患者では、結核は胸部X線検査により発見されることが多いが、透析患者においては、肺結核は少なく、リンパ節結核、骨、関節結核などの肺外結核の頻度が高いので、胸部X線検査はスクリーニング検査としては不完全なものである。透析患者では、長期間続く発熱によって結核が疑われて、病理検査により診断されることが多い。しかし、当然のことではあるが、胸部X線写真に所見がみられたり、原因不明の咳嗽(せき)が続くような場合には、喀痰の結核菌検査を行うことが必要である。 通常、排菌の認められるのは、肺、気管支、咽頭結核であり、結核性胸膜炎を含む肺外結核で排菌の認められることは少ない。したがって、肺外結核に罹患した透析患者が感染源となる可能性は少ないが、もし、透析患者が肺、気管支、咽頭結核に罹患し、排菌が認められるようであれば、隔離透析のできる施設へ速やかに転院させる。 隔離個室を確保することも不可能である場合には、他の患者が透析を行っていないときに透析をおこなう。移動中および透析中には、患者にはサージカルマスクを着用させる。 排菌性の透析患者が発見された際には、他の透析患者およびスタッフに対して6ヶ月間、イソニアジドを投与する。その際、患者に対してはイソニアジド(薬)の200〜300mgを1日おきに投与し、スタッフに対しては300mgを連日投与する。 |