7.4 血液透析患者の易感染性
血液透析患者における高頻度の感染症の背景には、宿主の易感染性がある。末期腎不全患者では、細胞性免疫、リンパ球機能、好中球機能のいずれも低下している。このような易感染性の原因には、尿毒症物質の蓄積や糖尿病の存在以外に、是正可能なものとして、(1) 蛋白摂取量の不足[1]、(2) ビタミンB6の欠乏[2]、(3) 頻回の輸血[3]がある。
すなわち、蛋白栄養状態の低下にともなって、リンパ球機能が低下し感染症による入院と死亡の頻度が増大すると報告されている。また、ビタミンB6が欠乏すると免疫機能が低下し、ビタミンB6を投与すると好中球の貧食能が改善し、mitogenに対するリンパ球の反応性が増大するとの報告もある。さらに、多くの研究者が頻回の輸血によりリンパ球機能が低下すると報告している。
1. 尿毒症物質の蓄積 |
2. 蛋白摂取量の不足 |
3. ビタミンB6の欠乏 |
4. 頻回の輸血 |
5. (糖尿病の存在) |
文献
1.Guarnieri G, et al: Protein-calorie malnutrition in hemodialysis patients. Int J Artif Organs 3: 143, 1980.
2.Casciato DA, et al: Immunologic abnormalities in hemodialysis patients: improvement after pyridoxine therapy. Nephron 38: 9, 1984.
3.Klatzmann D, et al: Suppression of lymphocyte reactivity by blood transfusions in uremic patients. 1. Proliferative responses. Transplantation 35: 332, 1983.