7.5 感染部位が不明な一般細菌による感染症
一般細菌による感染症の治療にあたっては、原因菌の種類によって選択する抗生物質が著しく異なるので、治療を始める前に必ず原因菌の検索をおこなうべきである。治療開始時には、原因菌が不明であることが多い。そのような場合には、感染部位から、あるいは経験的にもっとも可能性の高い原因菌を想定し、これに対して有効な抗生物質を用いて治療を開始する。その後、患者の経過、検査所見および原因菌の検索結果に基づいて抗生物質の変更をおこなう。
感染部位が不明であり、かつ原因菌が推測できない場合で、緊急性が低い場合には、広域ペニシリン、第1世代セフェム系抗生物質、第2世代セフェム系抗生物質を経口投与する。感染部位が不明であり、かつ原因菌が推測できない場合で、緊急を要する際には、広域の第3世代セフェム系抗生物質か、カルバペネム系抗生物質を投与する。これらの抗生物質の排泄経路は腎臓なので、投与量の調整が必要となることに気を付けなければならない。